
新宿にある日本でも有数の繁華街である歌舞伎町。
昼夜問わず、いつ行っても賑やかなこの町に「眠らない町」という印象を受ける人も多いことだろう。
俺自身もそう思っている。
そんな賑やかさ、悪く言えば騒がしい歌舞伎町には隠れ家的な店があったりもする。
今回紹介する店もそのひとつだ。
名前は「景虎」。
パスタ料理を楽しむことができる店だ。
偶然見つけたこの店は大都会の喧騒を忘れることができる、隠れ家のようなとても静かでおしゃれな場所だ。
では、早速紹介していくとしよう。
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まるで隠れ家。地下にあるおしゃれな店内
景虎新宿店は西武新宿駅のほど近いところにある。
以前紹介した喜多方ラーメン坂内歌舞伎町店の隣だ。
仕事帰りにこのあたりをうろついていたら、「旨いパスタを腹いっぱい食べたい」という看板を見つけた。
最近パスタを食べていなかったということもあったので、寄ってみることにした。
地下への階段を下りて行くとすぐ景虎の店内に入ることができる。
入口の正面がカウンターになっていて、俺はそこに席を通された。
すぐ近くに外国語で書かれたワインなどのアルコールの瓶が厨房の棚に沿うようにきれいに並べられている。
厨房はカウンターの反対側で二人の店員がせわしなくパスタを料理している。
奥のほうにはテーブル席があり、すでに何組かの客がパスタとアルコールを楽しんでいる。
景虎の店の反対側はパチンコ屋なのだが、通りを通っているときに聞こえてくる大音量もこの店に入るとだいぶ抑えられている。
地下という立地、やや暗めの店内、そして店内に流れる洋楽。隠れ家感満載だ。
おしゃれだし、雰囲気もいい。
こんな店がこのあたりにあったとは。正直言って今まで知らなかった。
こういう店を知っているっていうだけでもなんか少し大人になった感じがする。
連れてくる相手なんかいないけど…………。
そんな気持ちを切り替えるようにカウンター上に置いてあったメニューを手に取る。
パスタを売りにしているだけあって、その種類も豊富だ。
季節の食材を使用したものから、オイルベースやミートソースを使った定番の味、トマトソース、クリームソース、和風パスタといったものまである。
なににするか悩んだが、今回は店一番の人気だという「ナスとモッツァレラのミートソース」だ。
スパゲティの王道ともいえるミートソースにナス、そしてモッツァレラチーズを合わせた一品だ。
ミートソースのパスタは好きだし、店の一番人気というのだから絶対に外れということはないだろう。
俺は店員に「ナスとモッツァレラのミートソース」を注文した。
「本物」を提供するための様々なこだわり
パスタが来るまでの間メニューを手持無沙汰に見ていた。
その結果、景虎は様々なこだわりを持っていることが分かった。
まずパスタ。
景虎では創業時からディベラというイタリアの老舗ブランドのものを使用している。
このディベラはイタリアの消費者連合会主催の品質比較テストで他社を抑えて最高級評価を獲得するという実績を残したブランドらしい。
自社工場で小麦を選別、粉砕し、さらに独自の乾燥方法で作り上げたパスタは表面がツルツルとしていてのどごしのよい食感となっているのが特徴のようだ。
そんなパスタを景虎では注文が入ってから茹で始める。
パスタを提供する店ではお客への提供時間を短くするためにあらかじめパスタを茹でておく「茹でおき」という手法がとられることが多い。
しかしその方法は同時に風味が損なわれるだけではなく、パスタが伸びてしまうという重大な欠点を抱えている。
景虎ではパスタの持つ旨味を最大限に活かすためにたとえ時間がかかってしまうとしても、最高の味を提供するために注文後に茹で始める。
次にバターだ。
飲食店の裏事情にあまり詳しいわけではないが、通常バターは業務用のものを使っていることが多いと思う。
家庭料理でもバターを自作するという人はまずいないだろう。
だが景虎は毎朝店舗で手作りしている。
バターを手作りするというのは並々ならぬ苦労だと聞いたことがある。
それを毎日やるとはよっぽどのこだわりでないとできないことだろう。
そして調味料にもこだわりがある。
グルタミン酸やトランス脂肪酸、保存料、着色料といった化学調味料といわれる類のものをぎりぎりまで排除している。
使われる素材の味を活かしてこそ本当のおいしさがある。それが景虎の店主が持つ考えだ。
そうしたこだわりのもと作られるパスタは「常に本物の姿で提供する」という信念のもとでお客に出される。
必要以上に飾ったりせず、代わりの素材を使うのでもなく、そのパスタが持つ、本来の姿。その状態で「うまい」とお客に言わせる。
それが景虎の皿にかける思いだ。
一皿一皿常にいつも真剣勝負。
どんなときにも手を抜かない。
素材から調理までとことんこだわる。
景虎の料理は潔いくらい直球勝負なのだ。
味の調和を引き出したパスタ
そうしているうちに注文していたパスタが届いた。
今回注文したのはパスタの量が80グラムと一番少ない「ハーフ」だ。
この量は茹でる前の量なので、茹でた後はその倍の160グラムとなっている。
では早速いただくとしよう。
カウンターの上に置いてあるフォークに手を取り、パスタを巻いていく。
2,3回フォークを回して口の中へと運んでいく。
あ、これうめえ。めちゃくちゃうめえ。
つるんとした食感のパスタの味は薄すぎず濃すぎない。
いい具合にパスタにミートソースが良く絡んでいる。
そしてこのミートソース。
旨味とコクが濃厚だ。
この味だったらどんなパスタにでも合うことだろう。
半月切りにされているナスもミートソースの旨味を吸っていて大変うまい。
そしてパスタにかけられているチーズ。
粉チーズとモッツァレラチーズという2種類のチーズの味がまたミートソースの味を良く引き出している。
奥行きのある味とはこういうことを言うのだろうか。
正直言ってもっとたくさん食べたい。
どうせならハーフではなく、茹でる前のパスタの量が130グラムある「レギュラー」で頼むべきだったかもしれない。
そう思った俺は別の日にまた来てレギュラーの量でパスタを注文した。
今回頼んだのは店の人気ナンバー2のメニュー「厚切りナスのトマトソース」だ。
注文した品が届いて思ったことがある。
このパスタ。具材の量が増えている気がする。
これも景虎のこだわりのひとつだ。
大盛りとかでパスタだけ増やすというせこいことはやらない。
料理はバランスが命と考える景虎ではパスタの量が増えたら必ず具材の量も増やす。
なので途中でソースが足りなくなってしまって最後のほうは味が薄いパスタを食べなくてはいけなくなったということがないのだ。
では冷めないうちにこのパスタもいただこう。
食べてみるとさっぱりとした味わいが口に広がっていく。
ミートソースにはないさわやかさのようなものがトマトの酸味によって引き出されている。
元々俺はトマトが苦手なのだが、この味ならいくらでも食べれる気がする。
もはや夢中になって食べ続けていた。
ごちそうさんでした。うまかったです。
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まとめ
さて、今回は新宿歌舞伎町にある「景虎」を紹介したが、いかがだっただろうか。
これまでの説明で、歌舞伎町という繁華街にある隠れ家的名店の魅力をわかっていただけると嬉しい。
最後に、景虎の料理はパスタだけではない。
パスタにも合いそうな総菜メニュー、それらを楽しむための様々なアルコールが提供されている。
一人でゆっくりとパスタを楽しむのもよし。誰かを連れてきて楽しい時間を過ごすのもよし。
だが共通して言えることは、知っていれば誰かに自慢したくなる店の一つであるということは変わりないだろう。
これからも時々訪れて景虎の店の雰囲気とパスタの味を楽しみたい。
【今回紹介した品】
ナスとモッツァレラのミートソース(ハーフ) 750円
厚切りナスのトマトソース(レギュラー) 900円
景虎
・住所
新宿区歌舞伎町1-24-6
・営業時間
11:30~23:00(L.O.22:30)
定休日
火曜(ただし不定期)
(写真と文/鴉山翔一)