
腹減った……。
いきなりこんなことをいうのも何だが、事実腹が減っているのだから仕方がない。
朝は寝坊したせいで軽くしか食べていないし、昼は昼で忙しすぎた結果コンビニのおにぎり1個。
おまけに残業で遅くなったとなれば腹が減るのも自然なことだ。
家に帰る前にある程度飯を済ませておきたいところではあるが、問題がある。
経費請求し忘れたせいで現在手持ちが乏しい。
別段コンビニで何か買うくらいの金はあるが、正直言ってコンビニで何か買って食うという気分ではない。
どちらかというとラーメンみたいなものを食いたい。それも味の濃いやつ。
できれば500円か600円くらいで。
そんな都合のいい店あるわけない。
そう思っていたが、ちょうど心当たりのある店があった。
新宿アルタの裏辺り。
そこにその店はある。
それこそ今回紹介する「博多風龍新宿東口店」だ。
スポンサード リンク
魅力1 安い、うまいが揃った定番の豚骨ラーメン
店内に入るとすぐ食券機が置いてある。
博多風龍の豚骨ラーメンは3種類ある。
クリーム色のスープが特徴であるオーソドックスな「とんこつラーメン」。
マー油を入れることで風味を追加した「黒マー油とんこつラーメン」。
辛味噌を入れることで独特の旨味を加えた「辛味噌とんこつラーメン」。
この三種類だ。
値段はとんこつラーメンが一番安く、辛味噌ラーメンが一番高い。といってもその差は100円なので、ほとんど誤差の範囲といってもいいだろう。
まあ、まずは普通の豚骨ラーメンを食べてみるとしよう。
そう思った俺はとんこつラーメンの食券を購入して店員に渡す。
店内は全てカウンター席のようだ。
その一席に座って俺は携帯をいじりだす。
ラーメンとなればどんなに早くても5分ぐらいはかかるだろう。
そう思っていたのだが、3分ぐらいで届いた。いや、もしかしたらもっと早いんじゃないだろうか。
予想外の早さにしばらくあっけにとられていた。なぜこんなに早く出すことができるのだろうか。
しばらく考えていたところで思い出した。
福岡県が本場の豚骨ラーメン。その最大の武器。
それは速さだ。
博多や久留米の辺りが起源とされている豚骨ラーメンは極細のストレート麺を使用している。
そうしている理由は麺によく絡ませるためだけではない。
麺を細くすることでゆで時間を短縮しているのだ。
元々豚骨ラーメンは屋台などで提供されることが多かった。また客層には深夜や早朝に訪れる市場関係者やトラックの運転手などが多かったといわれている。
そういった人たちに少しでも早く提供できるようにする。
そういった経緯があって素麺のように極細の麺を使っている、というわけだ。
ここの店でもそうなのだろう。
普通の硬さで注文された麺のゆで時間は30秒もかからないらしい。
それであればあのスピードも納得できる、というものだ。
さて、豚骨トリビアはこの辺にして早速いただくとしよう。
スープは豚骨ラーメンの代名詞である白濁のスープだ。
このスープの色は豚骨のコラーゲンによるものだ。
高温で豚骨を煮ると豚骨から溶け出したコラーゲンがゼラチンに変わり、水に溶けだした脂肪を包むことで水に馴染みやすくなる。
これを乳化現象といい、白濁食のスープになるのだ。
ちなみにスープのとろみは溶け出したゼラチンによるものだ。
具材はチャーシュー、ネギ、キクラゲというシンプルなものだ。
シンプルでありながらも濃いスープを邪魔していない。
なかなかうまい。
これで500円台なのだから驚きだ。
魅力2 風味が豊かになる黒マー油とんこつラーメン
別の日、仕事帰りに新宿を訪れた俺はまた博多風龍を訪れた。
やはりこの価格で腹を満たすことができるというのはやはり魅力的だ。
食券を購入して席に着き、しばらくするとラーメンが届いた。
今回頼んだのはマー油をたっぷりと使った黒マー油とんこつラーメンだ。
本来豚骨ラーメンのスープといえばクリーム色をしているものなのだが、この豚骨ラーメンには黒々とした油のマー油が掛かっている。
このマー油は玉ねぎ、にんにく、そしてラードをたっぷりと使って作られてる。
このマー油によってより深いコクを引き出すことが可能になっているようだ。
では早速、そのスープの味を試させてもらうとしよう。
うむ。当然ではあるのだが、やはり普通の豚骨スープとは違う。
通常の豚骨ラーメンと比べると、より深みがある味わいとなっている。
マー油というのは「焦がしニンニク油」とも呼ばれることがある。
その名前が示すように、マー油というのは材料を4段階の異なる炒め具合で取り出し、ペースト状にしたものに油を加えたものだ。
全体の材料の4分の1ごとにその炒め具合が異なるのだが、最後に残った4分の1はほとんど炭化するまで炒められている。
なので、焦がしたニンニクや玉ねぎの風味がたっぷりと広がるのだ。
また、そのマー油によって豚骨本来が持つ甘味のようなものをより感じやすくなっている。
個人的にはこっちの豚骨ラーメンのほうが好みかもしれない。
通常の豚骨ラーメンに50円足しただけでこの黒マー油とんこつラーメンにすることができる。
これはなかなかいい店を見つけることができたかもしれない。
魅力3 2回まで注文することができる替え玉
豚骨ラーメンを提供している店で欠かすことができないもの。
それは替え玉のシステムだろう。
通常、替え玉となると1回無料ということが多い。
しかし博多風龍では替え玉を2回まで注文することができる。
他の店に比べて1回分多いのだ。
さっそく、そのシステムに乗っからせてもらうとしよう。
博多風龍が替え玉の注文をするタイミングでおすすめしているのは麺が3口ほど残っているときだそうだ。
そのタイミングで俺も替え玉を注文する。
硬さは普通。
15秒ほどの茹で時間の「かた」やさらに短い7秒しか茹でていない「ばりかた」というのもあるが、普通の硬さが食べてみてちょうどよいと思ったので普通にしておく。
ちょうど同じタイミングで注文した人が多かったから予想していた時間より少しばかしかかったが、しばらくして注文した替え玉が届いた。
早速その届いた替え玉の麺を器に入れてしっかりと混ぜ合わせる。
しっかりと混ぜ合わせた後、味を変えるべく、トッピングへと手を伸ばす。
この2杯目にトッピングを加えて味を変える、というのも豚骨ラーメンの醍醐味だ。
博多風龍で用意されているトッピングは5種類ある。
辛子高菜。ニンニク。紅ショウガ。白ごま。刻みショウガ。鷹の爪。
今回はその中でも辛子高菜をチョイスしてみる。
辛さの度合いが分からないので2つまみだけ入れて、再びかき混ぜてる。
では、早速いただくとしよう。
試しに一口。
………………。
ん?
もう一口。
あれ? 味変わったか?
加えた辛子高菜の量が少なかったのだろうか? 試しにもうひとつまみ入れてかき混ぜる。
そうした状態で高菜を合わせながら再び一口すすってみる。
やはりそこまで味に変化を感じない。
加えたからって味が変化するものでもないのだろうか。
そう思いながらスープを飲んでみる。
あ、辛い!
先ほどまで加えていた辛子高菜の辛味は麺のほうではなく、全てスープに反映されているようだ。
しかも加えた辛子高菜全ての辛味がかなり多かったのか、結構辛い状態になっている。
まあ、食べられないほどの状態になってないのが幸いか。
普通に麺食べる分には影響がないし。
替え玉2回目と行きたいところではあるが、ここにさらに何かトッピングを加えたとしてもこの状態から味に更なる変化を求められるかというとなかなかきわどいところがあるかもしれない。
2回目の替え玉はまたの機会に取っておくとしよう。
そうして俺は器の中に残っている麺とスープを胃の中に収めて店を出るのだった。
ごちそうさんでした。
スポンサード リンク
まとめ
さて、今回は博多風龍新宿東口店を紹介したが、いかがだっただろうか。
ここ博多風龍では本格的な豚骨ラーメンを低価格で味わうことができ、また替え玉などのサービスも充実しているということをご理解いただけたかと思う。
興味があったら一度訪れてみていただきたい。
【今回紹介した品】
とんこつラーメン 580円
黒マー油とんこつラーメン 630円
お店情報
博多風龍新宿東口店
・住所
東京都新宿区新宿3-21-2
・電話番号
03-3352-9304
・営業時間
平日土曜 11:00~翌2:00
日用 11:00~20:00
(写真と文/鴉山翔一)