寒さも急に増してきて2016年も残すところあとわずか。
様々なラーメン屋が今年もこの新宿で競い合ってきた。
思えばいろいろなところで食べてきたものだ。
ところで話は変わるが、ご存じだろうか。
とある口コミサイトの新宿エリアで年間1位を取ったラーメン屋が西新宿にあるということを。
前々から仕事の際近くを通るので一度食べてみたいと思ってはいたのだが、いかんせん都合が合わなかった。
が、今回ようやくその念願がかなった。
その店こそ、今回紹介する「麵屋翔本店」だ。
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強み① 鳥の旨味たっぷりのラーメン
たまたま昼時を過ぎたタイミングで訪れたため並びはしなかった。
しかし店内には結構な人数のお客がいた。
さすがは人気店。ピークを過ぎてもやはり人は集まるものだ。
店内に入って券売機に1000円札を入れつつも、しばらくその前で立ちどまる。
いつものことながら、何が店のおすすめなのかをまったく調べずに来ているせいで複数選択肢があるといつも悩む。
どうするかと悩んでいると、券売機右上に店員おすすめの品が書いてあった。
どうやら塩ラーメンが店の一押しらしい。
なるほど。麵屋 翔の自慢は鶏の味をふんだんに生かしたスープだ。鶏の味を楽しむのであれば確かに塩のようなあっさりした味のほうがいい。
そう思った俺は塩ラーメンの食券を買い、席に通される際に店員に渡した。
席は全てカウンターになっている。壁に沿って設置されたカウンター、そして厨房に面したカウンター。合わせて20席もないだろう。
そのうちの一席に座り、早速水を入れようとしてあることに気付いた。
この店のコップ、金属製のコップだ。
ラーメン屋のコップと言ったら大体プラスチック製だろう。しかし麵屋翔で使われているのは金属製のものだ。
試しに水を入れてみるとすぐにコップがキンキンに冷える。
金属は熱伝導率がいいとは聞くが、コップになるとここまで感覚が変わるものだとは思わなかった。
そんな感じで物珍しい金属製のコップを楽しんでいると注文していた香彩鶏だし塩ラーメンが届いた。
この見た目だけでもかなり気品と高級感が感じられる。
トッピングに使われているのは水菜、白髪ねぎ、そして若干レアに仕上がっているチャーシューだ。
まずはスープを一口。
様々な塩をブレンドして作られたスープは、口に入れると鳥の旨味を中心として魚介系の風味が口に広がっていく。ほのかに感じる香ばしさの正体は干しエビだろうか。アクセントとしていい仕事をしている。
麺は普通の細麺よりも若干太目なものでストレートなものを使用している。塩ラーメンと言えども旨味がしっかりとしているので、ちゃんと麺とスープ両方を味わうことができる。
麵屋 翔では同じ出汁を使った醤油ラーメンのほか、鶏白湯のつけ麺とラーメンがある。
どれも人気の品だ。
この4種類が麵屋翔の基本メニューとなっている。
強み② 水曜日限定の味噌ラーメン
水曜日は麵屋 翔には特別な日だ。
この日はつけ麺と鶏白湯ラーメンの代わりにあるものがメニューに追加される。
それが味噌ラーメンだ。
いつもであればおすすめはと聞かれたら塩ラーメンだと答える店員がこの日に限っては味噌ラーメンを推す。
1週間のうちで水曜日だけしか食べられないメニューということもあって、店の中は多くの客でにぎわっている。
この味噌ラーメンは店主が育った故郷、札幌の味だ。
それだけにこだわりもすごい。
スープは濃厚な味噌の風味がありながらもしっかりと旨味とほんの少しピリッとした辛さを感じることができる。
また胡椒とショウガが効いているからか、体の中から温まってくる。
使われている麺は本場北海道の有名店森住製麺の特注ちぢれ麺。
中太でコシが強い麺はスープが良く絡む。この濃い目の味が仕事の後の疲れた体に食欲をそそらせる。
具材はメンマ、白髪ねぎ、もやし、そして脂身とのバランスがばっちりなチャーシューだ。
このチャーシュー。普段提供されているチャーシューと比べると脂身の部分が多い。
こってり濃厚な味噌ラーメンにチャーシューが負けないようにするための配慮なのだろうか。
俺にとってはこれくらいのほうが肉を食っている、という感覚が味わえるので嬉しい。
寒風吹き荒れる中、ここまで来たかいがあったというものだ。
強み③ 月に一度だけの限定ラーメン
その月の最終火曜日。
仕事が終わった俺は職安通りのガードをくぐり、大急ぎで麵屋 翔へと向かっていた。
理由は至極単純だ。
最終火曜日。この日は麵屋 翔では1か月のうちでも特別な日なのだ。
まったく。さっさと仕事を切り上げて行こうと思ったら、思わぬタイミングで捕まってしまって時間がかかってしまった。
これで売り切れていて無駄骨なんて言ったら悔やみ切れたもんじゃない。
店の前に来るとまだ完売の文字はない。良かった。間に合った。
急いで中に入って今日限定のラーメンを食べよう、と思ったがまたしても俺の調査不足が裏目に出た。
俺の認識では毎月最終火曜日に限定のラーメンが出る、というものだった。
しかし実際は、すべてのラーメンが特別仕様になる、というものだった。
はっきり言わせてもらおう。
何を選べばいいんだ!
麵屋 翔自慢の塩もいいが王道の醤油も捨てがたい。ましてやそこからさらにラーメンにするかつけ麺にするかの選択肢まである。
このうち1つだけを選べというのか。あまりにも残酷な!
だが決めなければならない。
散々迷った結果、俺は塩ラーメンを選ぶことにした。
以前食べたここの塩ラーメンとの味の比較をしてみたいと思ったからだ。
食券を買って店員に渡す。
今回の席は厨房側のカウンターだ。
今まで壁側だったのでじっくりと厨房のほうを観察できなかったが、これでやっとみることができる。
中に置かれている寸胴には丸々と太ったおいしそうな丸鳥が入っているのが見える。
あれがこの日限定のスープの主役、媛っこ地鶏なのだろう。
媛っこ地鶏とは愛媛県で産出される特別な地鶏だ。
4種類の鶏を組み合わせて作り出された媛っこ地鶏は旨味と後味が自慢だ。
そんな特別な地鶏を使ったラーメンが、これだ。
早速この黄金色のスープを一口。
…………………………。
ちょっと待った……。
これやばい。マジでやばい。冗談抜きでやばい。
言葉にできない旨さとはこういうことをいうのだろう。
普段提供されている塩ラーメンも鶏の旨味が出ていて十分うまかった。
が、これはそれをはるかに超えている。鶏の旨味だけじゃない。甘味などもあり味が丸くなったように感じる。そしてその味は後を引き、心地よい余韻にも浸れる。
もはやラーメンのスープというよりも高級なチキンスープといった感じだ。
これが特別な地鶏を使って作り出されたスープの味なのだろう。
具についても通常は水菜が乗っているところがこの媛っこ地鶏の場合は紫玉ねぎになっている。
スープに対抗するような強い主張はせず、むしろ媛っこ地鶏という素材をしたから支えている。そんな付け合わせだ。
気が付けば麺は食べ尽くし、具材も食べ尽くし、スープは一滴も残らず全部飲み干していた。
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まとめ
さて、今回は麵屋翔本店を紹介したが、いかがだっただろうか。
麵屋 翔は店を回転させた当時はあまり人気がなく、経営も危うい状態であった。
しかし、日々ラーメンに対する情熱を忘れることなく改良に改良を重ねていった結果、年間ランキング1位という快挙を成し遂げた。
麵屋 翔の塩ラーメンは一部のファンからは「神の塩」とも呼ばれている。
この至高の一杯をぜひとも一度食べてみていただきたい。
今回紹介した品
・香彩鶏だし塩ラーメン 790円
・味噌ラーメン 830円
・媛っこ地鶏塩ラーメン 900円
麵屋翔本店
・住所
東京都新宿区西新宿7-22-34
・電話番号
03-3364-5787
・営業時間
平日11:00~15:00 18:00~23:00
土日祝:11:00~15:00 17:00~21:00
スープ切れによる変更有り
(写真と文/鴉山翔一)
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