子供のころ、家族でラーメンを食べに行くと俺や弟は何かとチャーシューメンを頼みたがった。
理由はよくはわからない。
普通のラーメンとの違いといえばチャーシューが多く乗っているということくらい。
傍から見ればその程度の差だ。
それなのに普通のラーメンとは200円、店によっては300円くらい差がつく。
今改めて思い返してみても、なんでそんな価格差に見合わないものにひかれていたのか、まったくもって理解できない。
しかし、その当時の俺にとってチャーシューが他より多く乗っている。そんなちょっとの差がとても特別なことのように思えていたのだ。
しかし親はそれを許さず、普通のラーメンを頼んでチャーシューを分けてくれるのだった。
それだけでも十分ありがたいことではあった。
が、普通のラーメンを食べながら思うのだった。
いつか大人になったら好きなだけチャーシューメンを食べてやる、と。
あれからもう10年以上経った。
社会人となった俺は時々ラーメンを食いに行くことはあるが、チャーシューメンなどほとんど口にしたことはない。
子供のころはものすごく特別なものと思っていたけど、今となってはその高すぎる値段ゆえに選択肢から必ずと言っていいほど外れてくる。
なんでこんなことを言っているのか、疑問に思う人もいるだろう。
実はチャーシューがたくさんのったラーメンを食べられる店を新宿で見つけたのである。
その店こそ「喜多方ラーメン坂内 歌舞伎町店」だ。
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■理由1/金曜日は餃子が安い
店内に入るとカウンター席がずらりと並んでいる。どの席も満席だ。
これはしばらく待つことになるかもしれないな。そう思っていると、店員の人に2階へどうぞと案内された。
どうやらこの店は2階にも席があるらしい。
途中階段の踊り場のところにラーメン餃子の宣伝文句のようなものが貼ってあった。
いや、高くつくだけだろ。ラーメンと餃子セットにするなんて。
外にあったメニュー表を見た際に餃子が5個で360円と書いてあったから、ラーメンとセットにしたら1000円近くになってしまう。
あいにく今はそんな余裕なんかこっちにはないんだよ。
そんなことを思いながら2階に上がるとテーブル席が何席かある。
その一席に座ると、すぐに俺は看板メニューである喜多方ラーメンを注文した。
すると店員が「本日餃子が半額ですけど、どうされます?」
その言葉を聞いて、そうか、と思った。そういえば今日は金曜日だった。
この喜多方ラーメン坂内新宿東口店では金曜日は餃子が半額になる。入り口にそんなことが書いてあったがほとんど頭に入ってなかった。さらに言うと平日の11時から15時までは半ライスが無料になるらしい。
つまり金曜日の昼時にここを訪れて喜多方ラーメンと360円の餃子、そしてサービスの半ライスを注文した場合、通常であれば1010円かかってしまうところがなんと830円になる。
200円近く安くなって、しかも1000円を切るのだ。
これはかなりお得である。
1000円以内でこれだけのボリュームを食べることができる店となると新宿広しと言えどもそこまで多くはないのではないだろうか。
正直言って悩んだが、今日のところはまたの機会に餃子は取っておくことにした。
■理由2/コストパフォーマンスの高いラーメン
さて、注文していたラーメンが届いた。
喜多方ラーメン坂内のラーメンに乗っている具材は至ってシンプルだ。
メンマ、チャーシュー、ネギ。
以上である。
字面だけ見たら特徴がなさ過ぎて地味、と思うかもしれない。
しかし、これを見てほしい。
お分かりいただけるだろうか。
別段、チャーシューメンを頼んだわけではない。他の店でいう普通のラーメンである。
普通のラーメンでありながら、チャーシューが5枚も載っているのである。
もう一度言おう。
チャーシューが5枚載っているのである!
カップ麺に入っているようなぺらぺらな奴ではない。ちゃんとそこそこの厚みを持ったチャーシューである。
では早速スープから。
スープは豚骨ベースということだが、新宿に多い濁ったコッテリ系の豚骨ではない。
透明感のある、かなりあっさりとした醤油味のスープだ。だがしっかりと旨味がある。
次に麺だ。
麺は注文する際に太麺か細麺かを選べる。
俺は太麺が好みだからいつも太麺にしている。
麺は平打ちの多水熟成麺だ。
麺というのは数日熟成させることによって発酵し、コシや見た目の透明感に変化が起きる。また、ゆでた際にしっかり火を通してもモチモチ感を保つことができる。
ここの麺も熟成に手が行き届いているのだろう。柔らかすぎず、硬すぎず、しっかりとした食感を持っている。
そしてこのラーメンの花ともいえるチャーシュー。
赤みの部分はしっかりとしていて、箸で持つと自重で脂身との境界になっている柔らかいところから千切れそうになる。
口に入れてみるとほのかに香ばしい。表面を少し炙っているのだろうか。
5枚も入っているのでしっかりとその味を楽しむことができる。
これで650円なのだから、コストパフォーマンスはかなり高いのではないかといつも思う。
■理由3/チャーシューメンにはチャーシューが〇枚載っている
給料が入ってから、俺は再び喜多方ラーメン坂内を訪れて、この店の目玉ともいえるラーメンを食べに来た。
喜多方ラーメン坂内の最大の目玉。それはチャーシューメンだと俺は思っている。
普通のラーメンであっても他の店でいうチャーシューメンと引けを取らないものであるだろう。
しかし、この店のチャーシューメンはそんじょそこらのチャーシューメンとはわけが違う。
喜多方ラーメン坂内のチャーシューメン。それがこれだ。
どうだろうか。このわけがわからないくらいチャーシューてんこ盛りにしたラーメンは。
いくらチャーシューメンに追加でチャーシューを頼んだところで、普通どんぶりから麺が一切見えなくなるほどの物量になるなんてことはそうないと思われる。
載っているチャーシューの枚数はなんと14枚! 二桁だ。もはや数の暴力のようなものである。
では早速1枚。
うーん。やっぱりうまい。
余計な脂を落としているから変なくどさもない。しかもどこかで作って店に持ってきたものではなく、店で調理されたものだから臭みなどもない。
チューシューが2桁載っていようがいくらでも行けるような気がする。これなら全部食い尽くせるはずだ。
3分の1ぐらい食べたところでようやく麺を引っ張り出せるだけのスペースができたので麺を食べ始める。
いつもと麺の量は変わらないはずなのに、先にチャーシューを結構な量食べたからか、少し量が多く感じる。
途中麺に少し飽きを感じたところで再びチャーシューを2,3枚口にする。これだけ食ってもチャーシューはまだ半分くらい余っている。その後再び麺をすすり始める。
麺を食い尽くしたところで残っているチャーシューはあと5枚。もうだいぶ腹も膨れているが、まだチャーシューを味わえることの喜びが勝っていた。
残っているチャーシューを次々口の中に入れていく。
一口水を飲んでリフレッシュした後、最後の1枚を口の中に入れてゆっくり噛みしめ、味わい、そして飲み込んだ。
残っていた水を一気に流し込んで俺はようやく一息ついた。
思っていた以上にかなり腹が膨れた。
写真で見た華やかさとは裏腹にそのボリュームはとんでもないものであった。
これでお値段が940円。
通常のラーメンにプラス300円だが、それだけの価値はある。
肉好きの人間にとってはたまらないラーメンであることに間違いはないだろう。
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■まとめ
さて、今回は喜多方ラーメン坂内新宿東口店を紹介したわけだが、いかがだっただろうか。
チャーシューにとことんこだわり、麺とスープとの三位一体を成し遂げたラーメンがこの店にあるということがご理解いただけたかと思う。
喜多方ラーメン坂内は新宿区内には他に3店舗ある。新宿西口思い出横丁店、新宿パークタワー店、そして四谷店だ。
もし興味があったら一度訪れてみてほしい。
・喜多方ラーメン 650円(税込み)
・チャーシューメン 940円(税込み)
喜多方ラーメン坂内新宿歌舞伎町店
- 住所
東京都新宿区歌舞伎町1-24-6
- 電話番号
03-5273-2161
- 営業時間
11:00~23:30(年中無休)
喜多方ラーメン坂内新宿西口思い出横丁店
- 住所
東京都新宿区西新宿1‐2‐8
- 電話番号
03-6279-0155
- 営業時間
10:00~23:30(年中無休)
喜多方ラーメン坂内新宿パークタワー店
- 住所
東京都新宿区西新宿3-7-1新宿パークタワーB1F
- 電話番号
03-3344-6611
- 営業時間
平日 11:00~22:00(L.O.21:45)
土日祝 11:00~20:00(L.O.19:45)
喜多方ラーメン坂内四谷店
- 住所
東京都新宿区四谷3-11
- 電話番号
03-53154155
- 営業時間
平日 11:00~23:00(L.O.22:45)
土日祝 11:00~22:00(L.O.21:45)
(写真と文/鴉山翔一)
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