新宿歌舞伎町の「たかはし」が日本人の味覚に訴えかける3つの理由

……はあ。ようやく解放された。

まったく。酒が飲めない人間にとって会社の飲み会なんて苦以外のなにものでもない。

いい店なんだから我慢しろ、なんていうのは正直言ってだからどうしたといいたくなる。

酔った人間には絡まれる。飲めないのに飲むのを強いられる。払った金額に対して食える料理は少ない。他様々……。

本当にいいことなんて何一つない。

どうせならラーメンの一杯でも食って腹を膨らせたいところ。なのだが、このあたりで知っているラーメン屋といえばこの時間から食べるにはなかなかヘビーなものしかない。

ほとんどが豚骨に背油たっぷりのコッテリガッツリ系だ。

あっさりした味となると全国チェーン展開しているような店になるが、そんな形で腹を膨らませるという気分でもない。ましてやここは歌舞伎町の近く。どうせなら少しでもこじゃれたところで食べたい。

そんな時、俺は一軒のラーメン屋を見つけた。

それがここ。「焼きあご塩ラーメン たかはし」だ。

この店の売りは塩ラーメンらしい。

正直なところ、俺はちゃんとした塩ラーメンを人生で一度も食べたことはない。

塩ラーメン自体は一度だけインスタントのものを自宅で作って食べたことがある。

が、どうもはずれを引いたらしく、すこぶるまずかった。旨味なんてものは一切存在しない、まさに作り置きですといったまずさが前面に出ていた。

それが若干のトラウマとなってしまったのか、俺はそれ以来塩ラーメンというものには手を出したことはない。

せっかくの機会だ。ちゃんとした塩ラーメンというものを一度食べてみよう。

そうして俺はたかはしの扉を開けるのだった。

 

たかはし外観

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■理由1/「焼きあご塩ラーメン たかはし」は高級料亭を思わせる雰囲気がある

 

俺は店頭に置いてある券売機で食券を買って中に入った。

外からも見えていたが、内装はとてもラーメン屋とは思えない。

店内は温かみのある照明で照らされていて、木の温かみのようなものが感じられる。

ラーメン屋というよりは、テレビなんかで見る高級料亭のような雰囲気だ。

塩という上品な味に合わせて内装も気品あるたたずまいにしているのか? などというよくわからない憶測まで浮かんでくる。

待っている間暇なので俺はカウンターに置いてあったメニュー表をぼうっと見ているとスープについての説明が書いてあった。

どうやらここの塩ラーメンはスープに「あご」を使っているらしい。

「あご」って確かトビウオのことだよなぁ。ラーメンであご出汁なんて珍しいと思いながらその説明文を読む。

ここの店では長崎のほうで水揚げされたトビウオを備長炭で炙った「焼きあご」を使っているらしい。その焼きあごの頭とはらわたを一匹一匹丁寧に取り、他にも数種類の魚介と合わせて魚介の出汁を取る。そしてその出汁を豚骨スープと合わせることでコクと旨味を引き出したラーメンにしているということだ。

でもちょっと待て。

上質な焼きあごを使っているということはよくわかった。しかし、あごと言っても所詮は魚の干物みたいなもの。馬鹿みたいにでかくなった煮干しみたいなもんじゃないのか?

一度煮干しメインのスープを使ったラーメンを食べたことがあるが、上品さなどとはとても遠い代物だった。

良くも悪くも煮干しの風味が前面に出る。それにかなりコッテリとしていた。

確実に好き嫌いが別れるものであることは確かだろう。

それがいったいどんな感じに変わるのだろうか。

 

たはかしのこだわり

 

■理由2/「焼きあご塩ラーメンたかはし」の味は高級感があふれている

 

さて、待ちに待った焼きあご塩ラーメンの登場だ。

塩ラーメンと聞いていたからスープの色は薄いと思っていたが、意外と色は濃い。これらは全部旨味によってついた色なのだろうか。

まずはその気になるスープを一口。

おお! 口の中にまろやかにあご出汁の風味が広がっていく。とても上品な味だ。

前にイワシで出汁を取ったスープを飲んだ時に、風味が無法地帯のフィールドをノーガード戦法で暴れまわっているといった感想を抱いたが、そんな荒々しい感じは一切しない。

むしろ、どこか神秘的な舞を踊っているかのような、ゆったりとして奥ゆかしさのある深い味わい。

スープというよりは高級なお吸い物のような感じの旨味を持っている。

旨味といえば日本人が一番敏感だといわれている味覚。その味覚にダイレクトに響く味だ。

醤油や味噌ではこの奥ゆかしさは隠れてしまう。だからこそ旨味をしっかりと感じることのできる塩なのだろう。

麺は平打ちの縮れ麺だ。旨味をじっくりと楽しめるようにするためなのだろう。

縮れたことで表面積の増えた麺にあっさしりたスープが良く絡まり、口の中で見事に合わさる。

元々弱酸性のスープと弱アルカリ性の麺という相反するもの。そしてそれは時間が経つと中和されて中性になっていく。つまりラーメンは最初と最後で味が変わってしまうのだ。

麺とスープそれぞれが持つ旨味を同時に味わえるのは品が出されてからの限られた時間しかない。

それはまるで沈みゆく太陽が眠らないといわれる新宿の町に作り出すオレンジ色の幻想的な風景のようなもの。その絶景を見れるのは黄昏時のわずかな時間だけ。

それをこのラーメンは見事に再現している。

 

焼きあご塩ラーメン

 

■理由3/「焼きあごラーメンたかはし」米にも力を入れている

 

さて、こんなうまいラーメン。麺もスープも味わいきらないともったいない。

そう思いながら食べていると、俺の目はあるものをとらえた。

この店では米にも力を入れているらしい。

使っているのはあのコシヒカリ。しかも新潟産だ。

この店の米は新潟にある高橋農園というところで栽培してるらしい。店名の「たかはし」というのはここからとっているのだろうか。

米を使ったメニューは丼ものが3種類、そして普通のライスが大中小の3種類。

せっかくだから、何か頼んでみよう。そう思い立った俺は丼ものメニューの一つ。塩だれロース丼を頼んだ。

しばらくすると注文した丼ぶりが出てきた。
塩だれロース丼
早速一口。

うーん。肩肉を使っていると書いてあった少し硬めなのかと思っていたがそんなことはない。程よく柔らかく、肉に塩だれの味がいい具合にマッチしている。

米もなかなかうまい。

半分くらい食べたところで、俺はとあることを思いついた。

これとラーメンのスープを合わせて締めの逸品を作ってしまおう。

残っていたラーメンのスープを少し丼ぶりのほうに移し、少しかき混ぜる。

こういう時のためにカウンターにはお茶漬け用の薬味が何種類か用意されている。ありがたい限りだ。

それを少し拝借して完成したのが、塩ラーメンのスープで作った出汁茶漬けだ。

完成したその逸品を口の中へと掻き込む。

うーん。塩だれの効果なのかより風味が増している気がする。なかなかうまい。

締めの逸品にこれを作り出したのは大正解だった。

 

 

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*まとめ

この店のラーメンは日本人はもとより旅行できた外国の人たちにも味わってほしいと思う逸品であった。

ラーメンという日本独自に発展していった料理。そして今や世界に広まった和食の最大の特徴である出汁の旨味を活かしきったスープ。その二つを同時に味わうことができるラーメンをこの店では扱っている。

もし、身近な外国人で日本を味わうことができる料理を食べたいという人がいたら、ぜひともここを紹介したい。そう思うだけの品がここにはあった。

 

たかはし外観

 

焼きあごラーメン たかはし

  • 住所

 東京都新宿区歌舞伎町1-27-3 KKビル1F

  • 電話番号

 03-6457-3328

  • 営業時間

 11:00~翌5:00(ラストオーダー4:30)

 

(写真と文/鴉山翔一)

 

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