西新宿7丁目の繁華街をブラブラと歩いていたら、無性に日本酒が飲みたくなった。
ワシは日本酒が好きだ!
酎ハイよりも、ワインよりも、ビールよりも、普通に日本酒が好きだ!
芳醇な香りと五臓六腑に浸み渡る味、そして体の底から熱くなるような酔い。
日本酒は日本人の魂であり、日本人の誇りである。
日本酒はその場に漂う邪気を祓い、清めてくれる。
命をかけた戦いに出かけるときも、死者を冥界へ送るときも、やはり日本人は日本酒を使う。
ま、とにかく、日本酒が飲みたいと思って歩いていたら、ふと大きな看板が目に飛び込んできた。
それが、この看板だ。
「俺の魚を食ってみろ!」
何とも挑戦的な言葉ではないか。
どうやら、店名が「俺の魚を食ってみろ!」らしい。
入口にあるメニューを見てみると、なかなかいい日本酒がそろっているようだ。
よし!
今夜は「俺の魚を食ってみろ!」で魚を食ってやる!
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■「俺の魚を食ってみろ!」のお通しに度肝を抜かれた!
夕方5時だ。
60席はある店内には客はまだ1人もいなかった。
入口外のオープンテーブルに2人の客がいた。
ネクタイをしめた中年男たちだ。
オレは店内の一番端の席に座る。
4人がけのテーブルだ。
イケメン店員がお通しを持ってくる。
「パンプキンの冷製スープです。スプーンですくって飲んでいただいてもいいですし、野菜などを浸して食べていただいてもいいです」
などと説明してくれた。
ちょ、ちょ、ちょ、待てよ!
お通しでかぼちゃの冷製スープが出てくる店なんて、聞いたこともないぞ!
しかも、ここは和食居酒屋だろ。
ワシはこれから日本酒を飲もうとしているってのに、いきなりスープかよ!!
まあいい。
とにかく、パンプキンの冷製スープをひと口、スプーンですくって口に運んだ。
「ん?」
うまいじゃないか。
口のなかに広がるカボチャの香りと甘い味。
とろみのある液体にはカボチャのザラリとした舌触りがある。
コクがあるのに、あっさりとしていて飲みやすい。
体がこの味を欲していたかのように味覚の深い部分にスウッと浸み込んでいくようだ。
ま、フランスレストランでコース料理を食べるときは、まずスープが出る。
そんな感覚なんだな、なかなかやるじゃないか「俺の魚を食ってみろ!」さんよ。
■「俺の魚を食ってみろ!」の日本酒ラインナップ
さて、今日は、どの日本酒を飲もうかぁ?
ワシは「俺の魚を食ってみろ!」の日本酒リストを眺めた。
【日本酒】
・乾坤一 超辛口 純米吟醸 972円
・日高見 純米吟醸 『弥助』 972円
・獺祭 磨き三割九分 純米大吟醸 1,296円
・廣戸川 純米吟醸 972円
・醸し人九平次 純米大吟醸 山田錦 1,296円
・新政 ラピス 純米大吟醸 山田錦 1,296円
・亀泉 純米吟醸CEL-24 972円
うまい日本酒はやっぱりそれなりの値段がするもんだ。
1杯380円のハイボールを飲み慣れているワシにとっちゃ、1合が1,000円前後する日本酒は、やはり「高いなぁ」という印象がある。
だが、しか~~し!
たまには、ちゃんとした日本酒を飲まなきゃいかんのだ。
安い酒ばかり飲んでいると、人間まで安っぽくなってしまう。
杜氏のワザと情熱がこもった日本酒を飲んで豊かな気持ちになる必要があるのだ。
それで、ワシは「獺祭(だっさい)」を飲もうかと思った。
いや、いや、獺祭はもう出回りすぎていて、珍しくなくなっている。
違うのを飲もう。
できれば東北の酒がいい。
東北の酒といえば「乾坤一(けんこんいち)/宮城県」「日高見(ひたかみ)/宮城県」「廣戸川(ひろとがわ)/福島県」「新政(あらまさ)/秋田県」となる。
大吟醸がおいしいのは当たり前だ。
米を磨き込んで雑味を捨ててしまえば角の取れたまろやかな味になる。
だから、大吟醸はおもしろくない。
ちなみに、純米吟醸と純米大吟醸の違いを説明しておこう。
・純米吟醸酒とは、精米歩合が60~50%でしかも低温でじっくりと作った日本酒のことだ。
・純米大吟醸とは、精米歩合が50%以下で低温でじっくりと作っている。
ま、ひとことでいうと、吟醸と大吟醸は精米歩合が違うのだ。
大吟醸のほうが、おもいっきり米を磨いて、中心部だけを使っているということ。
そりゃ、うまいに決まってる。
しかも、お米の外側の半分を捨ててるわけだから、もったいないよ!
で、ワシは、純米吟醸の「乾坤一(けんこんいち)/宮城県」を注文した。
杜氏の技と腕の見せ所は、純米吟醸にこそあらわれるのだ!!
■西新宿で宮城の銘酒をチビチビやる幸せ!
イケメンスタッフがお猪口の入った籠を持ってくる。
籠のなかにはお猪口がいっぱい入っている。
このなかから好きな猪口を選べということだ。
肉厚な猪口は和風な土の味がして純米酒に合う。
吟醸酒や大吟醸は香りを楽しむものだから、口の広い猪口がいいだろう。
ワシは比較的、口広の猪口を選んだ。
徳利は、首が細くて下部がふくらんだ銚子(ちょうし)が一般的だ。
熱燗にするには、この銚子を湯のなかにいれるか、レンジでチンするかだが、首が細くなっているのでアルコール分が抜けにくくなっている。
吟醸酒は当然、冷(ひや)で飲むので、銚子じゃなくてもいいだろう。
「俺の魚を食ってみろ!」ではコップタイプの「片口(かたくち)」に日本酒を入れて運んできた。
ま、日本酒はこれを手酌でお猪口に移し、チビチビやるのがいい。
日本人に生まれてよかったなぁと実感する瞬間だ。
1人で日本酒を飲みながら、本を開いた。
『日本人の誇り』(藤原正彦/文藝春秋)だ。
日本酒を飲みながら『日本人の誇り』を読んでいると熱いものが込み上げてきた。
「『個よりも公、金よりも徳、競争よりも和』を重んじる日本国民の精神性は、文明史上、世界に冠たる尊きものだった。しかし戦後日本は、その自信をなぜ失ったのか?」
と著者の叫びが聞こえてきそうだった。
武士道精神が日本酒とともにワシの喉元から心臓付近へと熱く流れこんできた。
■「なめろう」にチーズが合うんだなぁ~~
「とりあえず、早くできるものは何ですか?」
とイケメンスタッフに訊ねると、メニューブックの「とりあえずの一品」をすすめてくれた。
ワシはそのなかから「味噌チーズなめろう」(580円)を頼んだ。
「なめろう」というのは「たたき」の一種で、アジ、サンマ、イワシなど青魚を味噌やら日本酒やらネギ、シソ、生姜などを乗せて、まな板の上で包丁をトントンと叩いて粘り気が出るまで叩く料理だ。
ま、房総半島の郷土料理である。
「なめろう」に味噌を入れるのはよくあることだが、それにチーズというのはどうなんだろうか?
うまいのか?
「なめろう」にチーズを乗せて大丈夫なのか?
これは食べてみなければわからない。
運ばれてきたものがこれだ!
なるほど、「なめろう」のうえにパルメザンチーズを乗せているのか?
「俺の魚を食ってみろ!」さんよ、なかなかやるじゃないか!!
ひと口食べてみた。
「う~~ん!」
ワシは唸った。
うまいじゃないか!!
■秋の味覚はやっぱり秋刀魚でしょ!
季節メニューのなかに「新さんまの香味刺し」(780円)があった。
秋の味覚はやっぱり秋刀魚だよな。
今年も大漁らしいし、脂がのっておいしい季節になってきたからなぁ。
「秋刀魚はやっぱり外せないよね」
とワシが言うと、
「そうですよね。香味刺し行きますか?」
とイケメンスタッフ。
「じゃ、お願いします」
やってきたのがこれだ!
今年の秋刀魚は、なかなかですぞ!
ま、毎年、秋になると秋刀魚はおいしくなるんだが、そういう旬なものは食べとかなきゃなぁ。
口に運ぶと、ほんのりと茗荷の香りがしていいんだなぁ。
秋刀魚の骨をカラッと唐揚げにしてくれているのもありがたい。
刺身を味わったあと、ボリボリできるからなぁ。
さすが「俺の魚を食ってみろ!」さん、呑み助の食べ方を知っているじゃないか!
ワシは嬉しくなったね。
■「俺の魚を食ってみろ!」に来たらこれを注文しなきゃね!
そして、メインメニューは何といっても、これだろ!
「俺の魚を食ってみろ!」の看板メニューだ。
それは「玉手箱」という名前がついた極上鮮魚八種盛り。
つまり、刺身の盛り合わせだ。
1人前で980円だから、コスパはかなりいいぞ!
ま、これで、ちょこっとしか盛ってなかったら、残念な食レポになってしまうが、どうだろうか?
刺し盛りは時間がかかると思ったので、実は席に座ってすぐに注文したのだ。
秋刀魚の香味刺しを食べ終わったころ、ちょうどいい具合に「玉手箱」がやってきた。
おいおい、スゴイ量じゃないか。
これ、1人で食べ切れるか?
真鯛もあれば、ホタテもあるし、マグロ、ハマチ、イサキ、それにカニが大盛りだ。
何と言っても海老がうまかった!
おいおい、やるじゃないか!!
日本酒もおいしいものばっかり取り揃えてるし、日本酒にぴったりの料理もうまい!
大満足の「俺の魚を食ってみろ!」だった。
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■まとめ
場所は、小滝橋通りから路地に入るので、ちょっとわかりづらい。
しかし、以前、新宿マガジンで紹介した「博多劇場」の並びだから、「博多劇場」まで行ければすぐにわかるはずだ。
・店名/俺の魚を食ってみろ!! 西新宿店
・住所
〒160-0023 東京都新宿区西新宿7-10-14
・電話
050-5787-1617
・営業時間
月~日・祝前日・祝日
ディナー 17:00~23:00
(L.O.22:30、ドリンクL.O.22:30)
*刺身が無くなり次第、閉店時間早まる場合があります
〈運営会社のサイト〉
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