小説『なぜ新宿に不倫カップルが多いのか?』

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世の中の不倫が気になって成仏できない浮遊霊たちが、

今日も夜な夜な、街をさまよい、

不倫カップルを見つけては裁きまくる!

 

それが、「不倫カップル監視委員会」

 

さて、今回やってきたのは、新宿・歌舞伎町の焼き鳥屋「満太郎Jr」

珍しい樽生ホッピーが飲めるという話題のお店。

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壁に貼ったメニューの上には、

有名人のサイン色紙がズラリと並ぶ。

 

有名人御用達の焼き鳥屋らしい。

 

「さっそく発見しましたね。あのカウンターにいるカップル。

あれは、絶対に不倫ですね」

生前「不倫は愛の革命だ!」と名言を吐いた元俳優の石口純一の霊が言う。

 

 

■いったいこのカップルはどういう関係なのか?

 

「ちょっと待ってください。

年の差が開きすぎていませんか?

あれは、どう見ても親子ですよ」

生前は体に障害がありながら浮気を続けていたという乙成洋の霊が

険しい顔でカウンターのカップルを見つめる。

 

「でもねぇ。年の差カップルなんて、珍しくないからね」

生前はゲスな男に騙されて不倫に走ったタレント・ペッキーの霊が苦笑する。

 

5席ほどあるカウンターには2人の男女が

樽生ホッピーのジョッキを掲げて乾杯をした。

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男は50代半ば。

頭に白いものが混じっているが、髪の量は豊かだ。

肌にも張りがある。

まだ肌寒い4月だというのに、半そでのポロシャツ姿がたくましい。

 

女は20代後半か30くらい。

色白で小柄だが、胸のふくらみはボリュームがある。

 

華やかな花柄のワンピースはちょっと目立つものの清楚で上品な印象を受ける。

女子高から女子大へ進学した無菌培養で育ったお嬢様という感じだ。

 

「もし、この男女が親子だとしたら、ちょっと仲良すぎじゃないですかねぇ」

司会役の恐妻家・宮追博之が言う。

宮追は生前、同僚の芸人と「浮気ブラザーズ」と呼ばれていたほどの好きものだ。

 

宮追の言う通り、カウンターの男女の距離は近い。

ときおり、肩がぶつかっている。

 

「目と目を見つめ合う回数も多いし、そのときウフっと笑う表情に、

そこはかとなく愛を感じるんですけど」

と、宮追が2人を凝視する。

 

突然、ペッキーが大きな声を発する。

「この2人は絶対にエッチしてる!」

「あなたね。昔は清純派で売ってたんだから、もう少し上品な言葉を使ってください」

宮追がたしなめる。

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「だって、あの2人、乾杯したあと、おつまみにキムチ食べてるよ。

絶対、間違いない。やってるね!」

ペッキーはうんうんと怖い顔でうなずく。

 

「ちょっと見てください。

頭をなでて良い子良い子してますよ。

やっぱり親子なんですよ」

と、乙成が納得したように首を縦に振って言う。

 

「どこが、親子なんですか!

どうみても不倫でしょ」

石口が少し興奮してきた。

 

「でも、夫婦ということはありませんか?」

宮追が冷静に言って、3人の霊を眺める。

 

「わたくし、霊ですから、人の心のなかへ入ることができるんです。

それでは、女性のなかへ入ってみたいと思います」

宮追の霊がスウッとお嬢様のなかへ入っていった。

 

 

■2人の関係が明かされる!

 

お嬢様の名前はソノコ。27歳。

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「あら、このポテトサラダ。

おいしいですわ」

 

「ソノコさんの作るサラダのほうが10倍おいしいですよ」

男が言って、ソノコと視線を合わせる。

 

「まあ。嬉しい」

ソノコは首をちょこっと傾げて、愛らしい仕草をする。

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「焼き鳥が来ましたよ。串から外してあげるからね」

男は、もも肉やぼんじり、つくねなどを串から1つ1つ取り外す。

 

「ありがとうございます」

ソノコはよそよそしい言葉遣いで、そのあと「お父さま」と言った。

 

「ちょっと待って! 今、お父さまって言いましたよ」

乙成の霊がここで割り込んできた。

 

3人の霊たちは、自分の名前プレートを前においてテーブル席に横並びで座っている。

まるでテレビ番組のコメンテーターのようだ。

 

「つまり、親子ってことですかねぇ」

石口は、腑に落ちない様子だ。

 

「それはないっしょ。年の差カップルの場合、

年上の男をお父さんとかパパとか呼ぶことはよくあることでしょ!」

ペッキーが当たり前じゃないかという感じで、石口と乙成を睨む。

 

「あの2人は親子でエッチしたんですかねぇ」

と石口。

 

「近親相姦ですか?!」

と乙成。

 

「だから、親子じゃないって!」

とペッキー。

 

そこへ、宮追の霊がソノコの体から出てくる。

 

さっそくペッキーが宮追に詰め寄る。

「で、どうなの? あの2人の関係は?」

 

宮追はしばらく黙って考える。

そして、言葉を選びながらこう言った。

 

「親子は親子なんですが、血のつながりはありません。

ソノコさんは結婚2年目で子どもはなし。

ご主人の父親が、そこにいる男性です」

 

「つまり、義父」

石口がポカンと口をあけてカウンターのカップルに視線を向ける。

 

「それで、2人はエッチしてるの?」

ペッキーは宮追の腕を叩きながら、早く言えと催促する。

 

「だから、もう少し、オブラードに包んで言えないですかねぇ」

「だから、してるの? してないの? どっちなの?」

「過去の記憶まで入り込んでいませんよ」

「じゃ、もう一度、なかへ入って来て!」

ペッキーは宮追に命令する。

 

宮追は再びソノコのなかへ入っていく。

 

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■2人はやってるのか、やってないのか?

 

「あの2人はやってますね」

ニヤニヤしながら石口が言う。

 

「義父と嫁ですよ」

と乙成が眉をひそめる。

 

「同じ家に住んでいたら、義父だろうが、嫁だろうが、男と女の関係になるっしょ」

ペッキーが言う。

 

「不倫をするすべての人は愛の革命家なんです。

本人たちは意識していないかもしれませんが、

愛に正直に行動する姿は周囲の人々に気づきと成長を促すんです」

石口は学者のような口ぶりで言う。

 

「でたぁ~! 得意の持論」

とペッキー。

 

「そりゃぁ、浮気された旦那は、逆上するかもしれませんよ。

でも、そのことで、愛とは何ぞやと考えるはずです。

自分は、本当に、嫁のことを愛していただろうかと反省するでしょう。

そうやって真実の愛とは何かを学ぶわけです。

世の中が少しだけよくなるじゃないですか。

だから、不倫は愛の革命なんです」

 

「この不倫は、ダメっしょ。

女が騙されてますよ。

もしかしたら、無理矢理犯されたのかもしれません」

ペッキーがムキになって反論する。

 

「犯されたにしては、スゴク、仲がいいですよ」

乙成が「ホラ」と顎でカウンターのカップルを指す。

 

「ま、とにかく、やってるのか、やってないのかだけでも知りたいですね」

と石口がまっすぐカップルを見つめながら言った。

 

ソノコのなかに入った宮追は、過去の記憶を手繰り寄せていく。

 

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■ソノコと義父に何があったのか?

 

ソノコは、結婚に過度な期待をしていたのかもしれない。

お見合い結婚だったが、一緒に暮らしているうちに愛が芽生えるだろうと楽観していた。

 

新宿区内の一軒家で、庭には小さいながらも池があり春には梅が咲く。

義母はすでに他界していて、同居する義父はやさしくて気さくな人だった。

 

趣味は盆栽だった。

ソノコも土いじりは好きだったので、義父に教えてもらいながら家庭菜園を作った。

トマトやキュウリやナスが収穫できたときは、義父とともに大喜びした。

 

義父は、大手証券会社に勤めて重役までになったが、50を過ぎてリタイアしていた。

今でも株の運用だけで、年間1000万円近い利益をあげている。

 

それでいて、派手にお金を使うこともなく着るものはいつもユニクロで、

外で飲むときも安い居酒屋で済ませる倹約家だった。

 

ソノコの夫は、外務省に勤める真面目な男で、

夜は終電を過ぎてタクシーで帰ることが多かった。

 

おまけに出張が多く一緒に暮らしていても一緒の時間はほとんどなかった。

 

最初の半年間はダブルベッドで一緒に寝ていたのだが、

夫が「一緒に寝ていると、すぐに目が覚めて疲れが取れない」というので、

別々の部屋で寝るようになった。

 

夫と一緒に風呂へ入ることもなかった。

 

専業主婦のソノコは義父と2人きりの時間が多かった。

 

ただ、義父が外出したとき、密かな1人遊びを楽しんでいた。

それは誰にも見られてはいけない恥ずかしい遊びだった。

 

義父と庭でイチゴの苗を植えているとき、

「ソノコさん、あっちのほうは、満足してるのかい?」

と心配そうに義父が言った。

 

「あっちというのは、何でしょうか?」

ソノコは急に恥ずかしくなって白い耳たぶを朱に染めた。

 

「ヨシオは、仕事で疲れてて、ソノコさんのことをかまってる暇がなさそうだから」

「いえ、そんなことありませんわ。ヨシオさんにはよくしていただいています」

ソノコは言葉とは裏腹に悲しくなり、うずくまってしまった。

 

そのとき、義父のたくましい腕がソノコの華奢な肩を抱きしめた。

若いときはラグビー部のキャプテンをしていただけあって、

50を過ぎたいまでも厚い胸板をしていた。

 

ソノコは生まれてはじめて、身も心もとろけてしまいそうな接吻をした。

 

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■まとめ

 

今や4人に1人は不倫経験者。

不倫カップルはどこにでもいる。

そう、あなたの隣にも・・・。

 

歌舞伎町から大久保方面へ少し歩くと、

そこはラブホテル街。

 

歌舞伎町で食事して、ホテルへしけこむというパターンがごく自然にできる。

だから、歌舞伎町の焼き鳥屋は不倫カップルが多いのかもしれない。

 

 

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  • 店名 萬太郎 (まんたろう)Jr

 

  • 住所

東京都新宿区歌舞伎町1-10-5 えびす会館 2F

 

  • 交通手段

 

西武新宿駅から徒歩5分
新宿駅から徒歩7分
新宿三丁目駅から徒歩10分
東新宿駅から徒歩10分

西武新宿駅から304m

 

  • 営業時間

16:00~23:00

 

  • 定休日

日曜日、祝日

 

  • 席数

33席

(カウンター5席、テーブル28席)

 

  • 全面喫煙可

 

 

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