沖縄料理プロジェクトの3軒目は大久保通りにある、
「Wa!」だ。
この店は、たぶん、誰が行っても
沖縄料理店ベスト3には選ばないだろう。
ただ、店の人と友だちになって、
友だちんちに遊びに行くという感覚が好きな人は、
ドンピシャだろう。
しかし、そんな店を求めている人が何人いるだろうか?
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■大久保通りの賑やかな地域から離れていく!
JR大久保駅の北口改札を出て、
大久保通りをひたすら中野方面へ歩く。
北新宿1丁目の交差点も、すぎて、ひたすら中野方面へ進む。
しばらく歩くと、飲食店も少なくなり、コンビニが目立つようになる。
賑やかな地域からだいぶ離れていく。
弁当屋さんやら八百屋さんやらがある。
そして、左側の歩道に100円ローソンがあり、
その隣に「Wa!」という赤い看板が見えてくる。
オリオンビールのボンボリが壁に垂れ下がっている。
メニューが窓ガラスに貼ってある。
いかにも素人が作ったようなメニュー。
手書きで「焼き島らっきょ 540円」とある。
小学生が描いたような絵が、また、素朴でいい。
「ちょい飲み生」という下手くそな字にも味わいがある。
小さいことにはこだわらない沖縄人の匂いがする。
「なんでも、てぇーげーだから」
とミリオネア夫婦の妻が言う。
「てぇーげー?」
と夫が聞き返す。
「何でも大雑把で、適当だってこと」
「たしかに、沖縄の人って、そういうところあるよね」
■わずか2坪の狭小店舗に2人のスタッフ
店内に入るとクーラーが効いててひんやりとする。
「いらっしゃい」
と男の人が2人、声をかける。
どっちがマスターなのかわからない。
年齢も、30代なのか、40代なのか、50代なのか?
年齢不詳の2人だ。
鉢巻のお兄さんと、帽子のお兄さん。
脱サラして、2人で店を開いたのだという。
そして、2人とも沖縄出身者。
「Wa!」という店名は、2人の名前から取ったのだそうだ。
2人の名前を聞いたのだが、忘れてしまった。
てぇーげーに聞いていたみたいだ。
カウンターが4席あるだけの小さな店。
「冷蔵庫の上で1人飲みできるさ。
それに、端っこで立ち飲みだったら2人立てる。だから、全部で7人は入れる」
と帽子のお兄さんが笑う。
「この店に、7人も入ったら、息ができなくなるでしょ」
と夫が突っ込むと
「いやいや、この階段に座って飲めばいいから、あと2人はいけるよ」
と妻はまんざらでもない様子。
「マジ?」
「沖縄の人は、それでも楽しく飲めるさ」
と妻。
オープンして、まだ1年も経っていないので、真新しい感じがする。
壁のペンキ塗りなどは、自分たちでやったらしくて、ところどころダマになっている。
■狭い店内を階段がさらに狭くしている
それでなくても狭い店なのに、店内には、ドガーンと階段がある。
この階段のせいで、よけい狭くなっている。
写真ではちょっとわからないかもしれないが、かなり狭い店だ。
4人しか座れないカウンターも、階段があるせいで、後ろが通れない。
「何で、また、こんなところに階段があるの?」
と夫が尋ねると、
「2階にトイレがあるんですよ」
とのこと。
女性が階段を上がるとき、スカートのなかが見えるので、階段の裏側が紙で貼ってある。
こんな狭い店を、よくもオープンさせたものだ。
たしかに、カウンター4席しかない店でも、ちゃんとやってるところはある。
ゲイの街で有名な新宿2丁目には、狭小店舗はいくらでもある。
ゴールデン街にもある。
ここは大久保なので、新宿2丁目やゴールデン街のような淫靡な雰囲気はない。
どちらかというと、沖縄の空のような青くて澄み切った爽やかな雰囲気だ。
みると、カウンターのなかも狭い。
幅がないので、2人が交差できないし、
すみっこにガスコンロは1台あるだけで、まな板はカウンターの下だ。
■海ぶどうが口のなかでプチプチと~
まずはオリオンビールで乾杯。
沖縄で飲むオリオンビールと東京で飲むオリオンビールは味が違うというが、
どう考えても、同じ味だ。
多少、沖縄と東京とでは温度が違うので、違う味に感じるということだろうが、
そんなに違うわけがない。
ピルスナービールと黒いエールビールほどの差はないだろう。
まあ、いい、とにかくオリオンビールの生を2杯。
生ビールを一気にあおると、さらに瓶ビール!
なぜだか、ビールが進む。
「おススメの料理は何ですか?」
と夫が尋ねると
「タコライスかなぁ」
と答えが返ってきた。
「ビールを飲みながらタコライスね。まぁ、いいか」
と夫。
この店に来ると、何だか、何でもいいやっていう気持ちになるから不思議だ。
島らっきょうも海ぶどうも、沖縄から直送しているらしい。
この日、島らっきょうを切らしているとのことなので、海ぶどうを注文した。
氷の上に乗った海ぶどうが出てくる。
この海ぶどうは美味だった。
新鮮な海ぶどうで、口のなかでプチプチと潰れていくのが心地よい。
メニューは壁にかかったホワイトボード。
カウンターのなかも狭いので、調理できるものが限られる。
こった料理はできない。
妻のほうは、沖縄の話で盛り上がっている。
「沖縄のどこね?」
「北のほうさ。島に橋がかかってるところ」
「ああ、古宇利島に渡るまっすぐな橋だよね」
「奥さんはどこ?」
「首里」
「まあ、都会だね」
沖縄のなかにも都会と田舎があるらしい。
東京からみると、どっちも田舎なのだが・・・。
ま、この店は、オリオンビールを飲みながら沖縄の話をするところなのかもしれない。
■自慢のメニューは「タコライス」
「タコライスの辛さはどうするね?」
と鉢巻のお兄さんが言う。
「辛さが選べるの?」
と夫が聞き返す。
「選べるさ」
「じゃあ、辛すぎず、甘すぎず」
「中途半端な辛さだね?」
という鉢巻のお兄さんのセリフで店内が爆笑!
なるほど、こういうジョークで盛り上がる店なんだな。
また、鉢巻お兄さんと帽子お兄さんの掛け合い漫才的なトークがおもしろい。
しばらくしてタコライスがやってくる。
一口食べてみて、辛さがじんわりと口のなかに広がる。
中途半端な辛さとはいえ、かなり辛い。
だが、この辛さのおかげで、ビールがうまい!
ひき肉もやわらく味付けしてあり、おいしいタコライスだった。
「ご飯が黄色いのはなに? サフランライスなの?」
と夫が尋ねると
「沖縄のウコンを混ぜてるさ」
とのこと。
体によさそうなタコライスだった。
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■まとめ
他にお客さんが1人いたが、妻がすぐに話しかけて、友だちになった。
4席しかない小さな店だから、当然、客同士で話すことになる。
ま、そんな店だ。
営業時間はだいた18時くらいからはじまって、23時か0時に閉まる。
定休日は日曜日みたいだが、開けてる日もある。
てぇーげーな店なのだ。
電話はあるのか、ないのか?
そもそも予約はできないだろう。
ま、個人的に店の人と友だちになってケータイを聞くといいかも。
「星はあげられないんじゃないの?」
という声があるかもしれないが、
新宿マガジンとしては、こういう店が好きなので、
星を3つつけた。
★★★
(写真と文/ブッダ猫)
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