JR新宿駅には改札口がたくさんある。
南方面だけでも、
「南口」「新南口」「サザンテラス口」
新宿に住む新宿女子は徒歩で約束の場所へ向かう。
久しぶりに彼とデートだというのに、なぜ雨が降るの?
嫌な雨だ。
朝7時。雨足はしだいに激しくなっていく。
新宿のサザンテラスには、すでに通勤客が足早に歩いていた。
黒い傘、赤い傘、ブランド物のカラフルな傘。
傘のせいで、道行く人たちの顔は見えない。
たぶん、どの顔も朝から疲れた顔をしているのだろう。
水曜日の朝。
会社員たちは魂が喜ぶことをしているのだろうか?
それとも、我慢に我慢を重ね、魂が悲鳴をあげているのを無視して働いているのだろうか?
小田急ホテルセンチュリーの入り口では、すでに男が待っていた。
三日前、
「出勤前なら時間がとれるから、朝食をとりながら話そう」
と男は言った。
小田急ホテルセンチュリーの20階にある「サザンタワーダイニング」は、
朝6時30分から営業している。
スポンサード リンク
■小田急ホテルセンチュリーの20階は別世界
「梅雨時の雨を見ると、アジサイの喜ぶ顔が浮かんでくるんだよね。イメージだけど」
男は、そんな軽口を言いながらエレベーターに乗り込む。
なにがアジサイだよ、と思った。
小田急ホテルセンチュリーのロビーは20階にあるので、気安くロビーで時間をつぶすような人たちはいない。
閑散としたロビーを抜けて「サザンタワーダイニング」へと入っていく。
「いらっしゃいませ」
上品な笑顔でお辞儀をする女性スタッフ。
階下の通勤客が囚人のように歩いていた世界とはまったく違う、
夢のような別世界が広がっていた。
不思議の国のアリスは、白いウサギを追いかけて穴に落ちる。
そして、不思議の国に迷い込むのだが、私は、この男を追いかけて、恋に落ちて不都合な国に迷い込んでしまった。
サザンタワーダイニングには、白い肌の外国人もいれば、黒い肌の人もいる。
中国語や韓国語も聞こえる。
さて、男との朝食は、不思議の国のアリスの「狂ったお茶会」のようになってしまうのか?
それとも、結婚へ向けて前向きな話になっていくのか?
たしか、不思議の国のアリスの「狂ったお茶会」では、帽子屋が答えのない、なぞなぞをアリスにふっかけたはず。
この男は、いったいどんな、なぞなぞを投げかけてくるのだろうか?
見晴らしのいい窓際の席に案内された。
晴れた日なら富士山が見えたろうに、残念ながら今日は雨だった。
「コーヒーか紅茶、カフェラテもありますが・・・いかがいたしましょうか?」
女性スタッフが言う。
どうやら、飲み物はスタッフが持って来てくれるらしい。
食事はすべてビュッフェスタイル。
「何にする?」
と男。
「カフェラテを」
私がそう言うと
「じゃ、ボクもカフェラテで」
と男は言った。
「かしこまりました」
女性スタッフがテーブルから離れる。
男はニッコリ笑って、
「感じのいい女性だね?」と言った。
なに、なに、それはどういうこと?
私に嫉妬させようとしてるの?
それが、私への、なぞなぞなの?
私たちは、食事をとりに行った。
スポンサード リンク
■ブッフェ朝食はついつい食べすぎてしまう!
デトックスウォーターやマンゴジュース、バナナスムージーなどが並んでいる。
「まずはデトックスウォーターを飲まなきゃね」
男がニコニコしながら言った。
え? それって、私がデブってこと?
デトックスしてもっとスリムになれってか?
まあ、いい。
不思議の国のアリスは、小瓶のなかの水を飲んで小さくなった。
私も、デトックスウォーターを飲んで小さくなるかなぁ。
まずは新鮮な野菜を・・・。
レタスにトマト、チーズも入れちゃおう。
ドレッシングは醤油ベースの和風、ゴマドレッシング、自家製の人参ドレッシング。
全部、入れちゃえ!
青森県東津軽郡蓬田村坂本養鶏株式会社の『福々たまご』を使ったオムレツは絶対に外せない。
若いシェフが目の前で焼いてくれる。
「トッピングはどういたしましょう?」
なるほど、オムレツに入れる具を選べるらしい。
「トマトとマシュルームで」
オムレツは、この店のイチオシらしい
オムレツにベーコンとソーセージ。
温野菜を盛り付ける。
ココナッツカレーも最高!
パンも外せない。
種類が豊富で、全部食べたくなる。
でも、実際は全部食べられないので、今日はクロワッサンだけにするかな。
そして、クリームスープとみそ汁、どっちにするかなぁ?
男は早々とみそ汁を選んだようなので、私はクリームスープにした。
あれもこれも食べたくなるので、
ブッフェ朝食はついつい食べすぎてしまう!
でも、まあ、こういう日があってもいいだろう!
■そもそも、私は、この男と結婚したいのか?
「さあ、食べようか」
男が言った。
「じゃあ」
とだけ言って私は黙々と食べた。
「娘がさぁ。最近、朝ごはんとお弁当を自分で作るようになったんだよ。
高校生になったら、自分のことは自分でやろうねって言ったら、
意外に素直にやるようになってさぁ」
こんなときに、なぜ、男は娘のことを切り出すのだろう?
さっきまでモヤモヤしていたのが、さらに嫌な気持ちになった。
半年前、まだ付き合いはじめのころ、一度だけ男の娘と食事した。
男の娘はひとことも口をきかず、私をずっと無視した。
無言で拒否を表明したわけだ。
一回りも上でバツ1のコブ付き男と、35の私が、結婚できるのか?
そもそも、私は、この男と結婚したいのか?
どうなんだ?
本気なのか?
お前には無理だろ!
パパと結婚するなんて!
無言の娘の横顔にはそんなメッセージがあるような気がした。
それ以降、私は男の娘に会っていない。
私は、デザートを取りに行った。
■食後のフルーツは心を落ち着かせてくれる!
何か得体の知れないものに対して私は怒っていた。
何が気に入らないのか、自分でもわからない。
男は、ずっとニコニコしていてやさしい。
なのに、その柔和な顔さえも憎らしく思えてくる。
どうしたんだろう? ・・・私。
ふと、不思議の国のアリスに出てくる癇癪持ちの女王を思い出した。
自分はアリスだと思っていたが、自分は、あの醜い癇癪持ちの女王だったのではないか?
癇癪持ちの女王は、周囲の人々に次々と死刑宣告をする。
自分の気に入らない人は、切り捨てる。
自己チューで傲慢でいけ好かない女。
パイナップルにネーブル、バナナ、メロン、ライチ、そしてヨーグルト!
色とりどりのフルーツは、見ているだけでも楽しいものだ。
食後のフルーツは心を落ち着かせてくれる!
太陽をいっぱい浴びて育ったパイナップルは、便秘予防になるし新陳代謝を促進してくれる。
ネーブルは免疫力を高めてくれる。
それに、なんといってもライチは滋養強壮や疲労回復にバッチリなのだ!
フルーツを食べたあとは、紅茶を注文して、ゆったりとした気分になった。
癇癪持ちの女王は嫌だ。
もっと、ポジティブに考えてみよう。
男の娘がなかなか私を認めてくれないことをポジティブにとらえるとどうなる?
「もっと成長して変われるチャンスをいただいた」ってことかも・・・。
もう大人なんだ。
自分のことしか考えられないんじゃ、子どもと一緒。
相手の気持ちも考えられるような女になるぞ!
そんな気持ちの変化を感じた。
考えてみれば、ムカムカしながら食べたから、料理のおいしさとか、全然わからなかった。
おいしい料理を食べるときは、変なことは考えず、料理に集中しよう!
そう思った。
スポンサード リンク
■まとめ
この店は、朝食だけでなく、ランチもディナーも超オススメ!
〇朝食
洋食ブッフェ
・料金 お一人様 ¥2,800
6歳~12歳のお子様 ¥1,300
・時間
06:30~10:30 ( ラストオーダー 10:00 )
・お問い合わせ 03-5354-2177
朝食では、予約は受け付けていない。
ご来店順にご案内。
〇ランチ
・料金
サザンタワーランチ ¥2,500
エキスプレスランチ ¥1,600
・時間
11:30~16:00
〇ディナー
食事&フリードリンクがついて6,000円
・時間
17:30~22:00
(L.O.21:00)
- 店名/サザンタワーダイニング
- 電話番号
03-5354-2177
FAX:03-5354-2156
- 住所
〒151-8583 東京都渋谷区代々木2-2-1 小田急ホテルセンチュリーサザンタワー20階
- アクセス
JR 新宿駅 新南改札 徒歩3分
JR 新宿駅 南口 徒歩3分
都営大江戸線 新宿駅 A1番出口 徒歩1分
都営新宿線 新宿駅 A1番出口 徒歩1分
- 営業時間
・朝食 6:30~10:30
(L.O.10:00)
・ランチ 11:30~16:00
(L.O.15:00)
・ディナー 17:30~22:00
(L.O.21:00)
(写真と文/ブッダ猫)
コメント