新宿ピカデリーで「ちょっと今から仕事やめてくる」を見て幸せについて考える


    *映画のネタバレ注意!!

    なぜ生きるのか? なぜ働くのか?

    社会人であれば一度は考えたことのある命題であり、永遠に正解の出ることのない難題でもあります。

    今の日本ではパワハラ、セクハラ、長時間労働、サービス残業などが平気で行われています。

    いっそ会社を辞めてしまいたい。

    そう思っても働き続けるのは次の就職先が見つからなかったことを考えてしまうから。

    その結果、人生に幕を引く、というのも残念ならが今では珍しくありません。

     

    なぜ働き、なぜ生きるのか? そんな悩みを持っている人にぜひとも見てほしい映画がある。

    「ちょっと今から仕事やめてくる」

    電撃小説大賞で受賞した作品を原作としています。

    ふざけたタイトルと思われるかもしれませんが、この映画は今働くことに悩んでいる人に見てもらいたいと思っています。

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    1.うつ状態の時に現れた同級生

    この映画の主人公はブラック企業に入社してしまった青山隆(工藤阿須加)という青年です。

    印刷会社で営業をしていますが、社内の雰囲気は最悪です。

    部長のパワハラやセクハラは日常茶飯事。皆ビクビクしながら働いています。

    残業は3ヶ月連続で150時間。もちろん残業代は1円も払われません。

    絵にかいたようなブラックです。

    隆の精神は毎日すり減らされ、心配する両親の声も隆にとっては仕事の邪魔でやかましいだけでした。

     

    ある日の夜、隆は過労の末「うつ」に近い状態となって、駅のホームで意識が朦朧となってしまいます。

    うつは生きる意志を奪うだけではありません。

    過労やストレスでうつになってしまうと、「死」というのがまるで地図もなく延々と砂漠を歩き続けた末に見つけたオアシスのように感じさせてしまいます。

    この時の隆も「死にたい」とは思っていません。

    「寝たい」、「休みたい」という人間誰しも起こる正常な反応です。

    そして「線路に落ちる」というのが唯一の希望のように見えてしまっています。

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    あわや線路に転落!

    その時隆をホームへと引き戻す男が現れます。

    隆に関西弁の男はまるでモデルのような笑顔を見せて小学校の時の同級生の「ヤマモト(福士蒼汰)」と名乗るのでした。

    2.太陽のようなヤマモト

    とにかくヤマモトはめちゃくちゃな人物でした。

    自由奔放という言葉をそのまま人間にしたようなヤマモトは隆の記憶にある人物とは全く異なるのでした。

     

    ある日、二人で隆が仕事で使うネクタイを買いに来た時のことです。

    ヤマモトは隆に営業をうまくやるにはどうすればいいかレクチャーをします。

    やけに詳しいヤマモトに隆は何の仕事をしているのかと聞くと、彼はニートだと答えました。

    それで生活できるのかと驚く隆にヤマモトは就職しなくても意外と生きていけると語るのです。

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    そしてヤマモトの指摘はぴたりと当たります。

    隆も自分に自信ができ、その変化が仕事へと影響を与えていきました。

    仕事も隆の熱意が客に伝わり、大型案件へつなげることができるかもしれない契約を手に入れることができたのです。

    そして二人で飲んでいるときに隆に1本の連絡が届きます。

    同級生のヤマモトは今ニューヨークにいるというのです。

    では今一緒にいるヤマモトは何者なのか?

    すぐさま問いただすと、当の本人はすぐに白状しました。

    なんと彼は思い出話をしている途中に隆が自分の同級生でないと気が付いたというのです。

    「もしかして自分を騙そうとしているでは?」と思った隆はヤマモトの本名を聞くと彼は「山本純」と名乗り、免許証を差し出します。

    呆れる隆に対してヤマモトはどこか嬉しそうです。

    元々赤の他人同士だった二人がこうして出会って友人になれた。

    これがとても嬉しいのでしょう。

    こうして二人は再び盃をかわすのでした。

    3. 会社を辞めることより簡単なこととは?

    仕事も順調に進んでいた隆に事件が起こります。

    発注していた印刷物の用紙の種類が違うとクレームが入ってきたのです。

    すぐに発注書を確認すると、発注書に記載されている用紙の種類が異なっています。

    大幅な値下げを条件に契約の解消は免れることはできましたが、隆は担当から外され、フォローをした先輩の五十嵐が担当となってしまいます。

    先輩に尻ぬぐいをさせ、会社に損失を与えたとして部長は鋭い剣幕でけなし、誠意を見せろと土下座まで強いるのでした。

    自分の無力さにただ声を押し殺して一人部屋で泣くしかない隆。

    今まで積み上げてきた自信はこの一件によって簡単に崩れ去ってしまうのでした。

    3"

    仕事のミスによって元気のない隆にヤマモトは仕事を変えてみたらと気軽に提案します。

    いつもなら聞き流すところですが「正社員で就職するのがどれほど大変なことなのかわかっているのか?」と反論します。それをヤマモトはしれっとした態度で、なぜ正社員にこだわる必要があるのか訊き返します。

    納得させられる答えが出ず、仕事を辞めることは簡単なことではないと隆は返しますが、死ぬことと会社を辞めることどっちのほうが簡単なのか訊かれて言葉を詰まらせます。

    いつもと違って真剣な表情のヤマモトは隆が死のうとしていたこと、それをヤマモトが見つけてあとを追いかけたことを明かします。

    見ず知らずの人間にどうしてそんなことをしたのかという隆の質問にヤマモトは静かに答えました。

    同じ表情をしていたヤツのことを知っているから、と。

    4.隆に襲い掛かる絶望

    ある日、隆はバス停でヤマモトの姿を見かけます。

    だがその様子はいつも見かけるヤマモトと違っていつもの破天荒さを感じさせないものでした。

    後をついていくと、山本はとあるバスに乗ってどこかへ向かいました。

    そのバスは霊園と駅を結ぶシャトルバスだったのです。

     

    あれは本当にヤマモトだったのか?

    疑問に思う隆はふとあることに気づきます。

    自分は山本純について何も知らない。

    調べてみると衝撃の事実が判明します。

    山本純は3年前に飛び降り自殺で死んでいるのです。

    信じられない隆はなぜヤマモトは自分の前に現れたのかと考えます。

    もしかしたら幽霊になって、自分が自殺するのを止めに来たのだろうか?

    だとしたら成仏させるためには自分が頑張るしかない。

    そう思い、隆は自分にできることをやろうと奮闘します。

    隆は取引先とのやり取りの記録を作り、五十嵐に渡します。

    その資料を見て五十嵐は驚きの顔を浮かべ、なぜこんなものを作ったのかとまるで無駄な仕事をしたかのように攻めるのでした。

    それだけではありません。隆が五十嵐に対して契約は自分の手柄だと文句を言っているという身に覚えのないことで部長から怒鳴られるのでした。

    自分の伝え方が悪かったのかもしれない。

    隆はすぐに五十嵐のもとへ行って謝罪しますが、彼女は「消えろ」といってエレベーターの中に消えていきました。

    もはや会社に隆の味方となる人間はどこにもいないのでした。

    5.誰のために生きるのか?

    会社の屋上から飛び降りる決意を決めた隆のもとへヤマモトが現れます。

    彼は「人生は何のためにあるのかわかるか?」と隆に問います。

    戸惑う隆にヤマモトは「人生は自分のため、そして自分の家族のためにある」と口にします。

    だが家族に対して今までひどいことをしてきた、自分はいなくなっても仕方ない存在だと力なく隆が答えるとヤマモトは親不孝者と罵り、本当にそうなのか確かめるべきだと言います。

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    実家に帰った隆を待っていたのは、温かい両親でした。

    久しぶりの一家団らんの中、自分は両親にとって大切な存在であることに隆は改めて気づきます。

     

    戻ってきた隆は山本を呼び出し、これまで自分のために色々としてくれたことを感謝し、立ち上がって言いました。

    「ちょっと今から仕事やめてくる」

    職場に着いた隆はまっすぐに部長の席へ向かい、本日付で仕事を辞めると口にします。

    隆の言葉にこれまでにないくらいヒステリックに部長は叫び続けます。

    そんな部長に対して隆はとても静かでした。

    簡単じゃなくてもいい。簡単であってはいけない。

    けど、これからは青空を見上げて笑って生きていきたい、と。

    自分が抱いている思いを口にして、隆は職場を後にします。(この際部長は近くにあった机に思い切り八つ当たりした際にその痛みにもだえるのですが、個人的に「はいざまあ!!」と心の中でガッツポーズで叫びました)

    隆の後を追いかける五十嵐はエースである自分にかかる期待の重さから隆の発注書を偽装したことを告白します。

    彼女もブラック企業の犠牲者だったのです。

    五十嵐の告白を隆は笑顔で許し、五十嵐はやっぱりあこがれの存在だと口にして会社を後にします。

    会社を出た隆はもう自由です。大通りを手にしたカバンを振り回しながらスキップするほど心が解放されていました。

    その様子をヤマモトは静かに見守っているのでした。

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    6.ヤマモトの正体

    戻ってくるとヤマモトの姿はどこにもありません。連絡も取れなくなってしまいます。

    ヤマモトは何者だったのか?

    隆は彼の正体を探し始めます。そしてとある孤児院にたどり着きます。

    園長に話を聞くと、「あの子たち」は1つの魂から生まれてきたようだと語ります。

    そう。ヤマモトは双子で、隆が出会ったのは山本優という死んだ山本純の兄でした。

    二人はバヌアツで自分たちと同じ孤児の世話をすることを夢見ていました。

    純は医者として。優は教師として。

    そのために純は仕事をしながら大学へ進学するべく勉強していました。

    しかし、純が就職したのはブラック企業だったです。その結果、勉強どころではなくなってしまいます。

    純のことを心配した優が仕事を辞めて一緒にバヌアツに行こうと勧めますが、純の医者になりたいという意思は硬かったのです。すべては二人の夢を叶えるために。

    そうして純はブラック企業につぶされてしまったのでした。

     

    隆を見届けた優は旅に出ると園長に告げて、隆が来たら渡してほしいとあるものを残していったのでした。

    それはバヌアツの子供たちが笑っている写真で「この子らと一緒にお前も笑ってみないか」というメッセージが残されていました。

    隆は優を追いかけてバヌアツへと向かい、彼と再会します。

    子供たちと一緒に砂浜を走る隆を見届けた優は空を見上げ、天国にいる純に向かって呟きます。

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    「人生ってそれほど悪いもんでもないやろ」

    そうして子供たちの後を楽しそうに追いかけました。

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    ●まとめ

    「今幸せですか?」そう聞かれたときに「幸せだ」と心の底から答えられる人はそんなにいないでしょう。

    この映画の隆もブラック企業に入ってしまったせいで近くにある幸せが見えなくなってしまっていました。しかしヤマモトと出会ったことで再び希望を見出し、狭いオフィスを飛び出して大空の下で幸せを手に入れることができました。

    テーマソングを歌うコブクロもかつて営業職で心がボロボロになっていた時期があったそうです。

    それゆえに「心と共に生きる」というテーマの曲を作ったと明かしています。

    多くの人は死ぬ間際に「もっと自分の幸せのために生きるべきだった」という後悔をするといわれています。

    一度この映画を見て、自分にとっての幸せとはいったい何なのか一度考えてみてください。

    そして周りで悩んでいる人がいたら、助けてあげてください。

    それが悲しい不幸を減らすために誰にでもできることなのですから。

    最後にこの文章を今は亡き友人に捧げる

    【新宿ピカデリーのオフィシャルサイト】
    http://www.smt-cinema.com/site/shinjuku/

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