クレイジー過ぎて面白い!スイスアーミーマンを角川シネマ新宿で観て来た!

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舞台は無人島から始まる。

遭難して独り漂着した青年ハンクが、絶望して命を断とうとした時、

波打ち際に男性が打ち上げられてくる。

喜んで駆け寄ってみたが、残念ながらそれは死体だった。

落胆するハンクであったが、奇妙なことに死体からは大量のガスが出ており、

浮力があることに気付く。彼は意を決し、死体にまたがり無人島脱出を試みるのだった。

 
【映画パンフレット】 スイス・アーミー・マン 監督 ダニエル・シャイナート  監督,  ダニエル・クワン  キャストポール・ダノ, ダニエル・ラドクリフ, メアリー・エリザベス・ウィンステッド

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1.死体でジェットスキー!? 無人島に連れて行きたい死体とは

 

「スイスアーミーマン」というタイトルが既にネタバレなのだが、

スイスアーミーナイフ、、、つまり十徳ナイフの人体版がこの死体だ。

 

死体から噴出すガスでジェットスキーする。その映像だけでもかなりクレイジーだが、サバイバルに役立つ便利な機能をいくつも持っており、無人島からの脱出にかなり重宝する「十徳死体」なのである。

かなり頭のおかしい設定で非常に馬鹿馬鹿しい。だがしかし、そのおかしな世界に徐々に引き込まれてしまう。

どんな結末になるのかまったく予想のつかない展開の映画なのだ。

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2.ハリーポッターのダニエル・ラドクリフの体当たり演技

 

『ハリー・ポッター』のダニエル・ラドクリフが、今回はまさかの死体のメニー役で主演している。

青白い顔で焦点の定まらない目をした死体は、最初は見ていて正直気持ちが悪いのだが、徐々にそれさえも自然で、親しみのあるキャラクターに感じてくるのだ。

 

ハリー役だった彼も現在は27歳。『ハリポタ』シリーズ終了後は、男同士のラブシーンを披露した『キル・ユア・ダーリン』や、不思議な力を持つ角が生えてきた男を演じた『ホーンズ 容疑者と告白の角』など、さまざまな作品に挑戦し続けている。

そして今回はこの死体役。あのハリーがそこまでやるか!? という演技を見せてくれていて、今後の活躍も楽しみな俳優である。

 

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3.段々美女に見えてくる!? ポール・ダノの魅力

 

無人島で独り漂着した青年ハンク役を演じるのがポール・ダノ。

 

かつてハンクには思いを寄せていた女性がいたが、偶然バスで出会うだけで、話しかけることさえできずにいた。

彼は彼女と出会ったバスを模したオブジェを廃材で作り、ボロ布で作ったカツラ、衣装をまとって、その女性になりきり、生前の記憶を失った死体のメニーに、生きることの悦びを知ってもらおうとするのだ。

 

はじめはボロ布を被っただけの髭面のおっさんなのだが、だんだんと魅力的な女性に見えてくるのが不思議だ。

 

彼は17歳の時に『L.I.E(原題)』で映画デビュー。以来、ナイーブな好青年や、ちょっとオタクでナヨッとした役、狂気的な役まで、作品ごとにまったく違う顔を演じる俳優で、今ではハリウッド映画に欠かせない若手演技派の1人となった。また『Wildlife(原題)』では監督、脚本家デビューをしている。

 

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4.ひとつのジョークからはじまったスイスアーミーマン

 

本作で監督をしているのがダニエルズ。ダニエル・シャイナートとダニエル・クワンのコンビだ。実はこれが彼らの映画監督デビュー作となる。

以前はミュージックビデオなどを手がけていたそうだが、いつもミュージックビデオですごくバカなことをやりたくて、いろいろなことを試しているうちに、なぜ自分たちがバカなことをやりたいんだろうと模索し始めたという。

 

『スイス・アーミー・マン』は、自分たちの最もバカなアイデアを何年もかけて理解しようとした結果なのだとか。最初は“オナラをする死体”というひとつのジョークから始まったが、それが恥ずかしいという気持ちはどこからくるのか、生と死とは何なのかを掘り下げた結果、ひとつの映画に仕上がったのだそうだ。

 

劇中でハンクとメニーが造る森の木や廃材でバスを模したオブジェなどが登場するが、あれはスタッフが事前に準備していたのではなく、ロケ地の森にあった木々などを寄せ集めて、現場で作ってしまったのだという。非常に幻想的でノスタルジックな映像に仕上がっていて、彼らがミュージックビデオで培ってきたであろう技術が存分に発揮されている。

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5.常識や世間体の「当り前」を考え直させられる不思議な映画

 

人前では放屁しないこと、自慰行為の際に母親の顔が浮かんでしまうこと、意中の女性に話しかける勇気がないこと、父親と微妙な関係にあること、そんな色々な感情を隠したり、捨ててきたりしてきたハンク。

 

でも、皆も普段同じようなことを考えていないだろうか?

そして人に知られると恥ずかしい思いたちを心の奥底に仕舞い込んだり、無かったことにしてしまったりしてるんじゃないのかな?

 

現代社会の中で生きていくには、そうやって折り合いをつけて生きていかなければならないことのほうが多い。何が恥ずべきことなのか、何が不快に思われるのか、常に常識や世間体を気にして制約を受けながら生きている。

 

この映画に登場するハンクも、そんな現代社会に生きるひとりだ。人前で放屁することや、母親の顔がちらついて自慰できないこと、意中の女性に思いを伝えられられないこと、父親と上手くいかないこと、ハンクのこんな悩みも全て「社会」が定義づた常識や世間体によるものだろう。

そしてその定義をはずれることを恥ずかしいと感じてしまうのだ。

 

死体であるメニーは、そんなハンクの隠してきた、目を逸らしてきたものの塊なのである。かつての記憶を失ったメニーに、生きることの喜びを知ってもらうために奮闘するうち、自身の常識や世間体に凝り固まった部分が徐々に解きほぐされていくのだ。

 

クレイジーで馬鹿馬鹿しい映画だと見始めた「スイスアーミーマン」だが、

そのクレイジーながらも非常に美しい映像と、馬鹿馬鹿しくも考えさせられるストーリーに、最後にはまんまと感動までさせられてしまうというトンデモない映画なのである。

 

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