西武新宿駅そばの「しんぱち食堂」で定食の魅力を再認識する

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近年世界各国で話題となっている日本の「和食」。

創作料理や家庭料理など様々なものがあるが、中でも「定食」は日本の食を象徴するジャンルの1つとなっていると個人的に思う。

白いご飯と味噌汁が入った2つのお椀。そしてそれらが崇めるかのようにoお盆の中央の皿に盛られた定食のメインであるおかず。

この3品が揃うだけでちゃんと絵になるところが定食のすごいところだろう。

こんな話をした理由としては西武新宿駅のすぐそばに前から気になっていた店があったからだ。

人間気になった店があったとしてもなかなか一人では足が進まないもの。

だがこの日の俺はいつもとは違った。

連日の残業が原因の疲れもあって、家に帰る前に晩飯を済ませてしまいたい。

そういった願望もあって、俺は「しんぱち食堂」の戸を開くのだった。

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・「食堂」という名前からはギャップのある店内

入口の引き戸を開けると、すぐに店内の様子がうかがえる。

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席は全部カウンターだ。年季が入った風合いを持ったカウンターはどこか高級感がある。

席数は10席以上あるが結構埋まっていた。

時刻はとうに午後9時を過ぎている。

定食屋というと昼時が一番人の入るイメージがあるのだが、この店はこの時間でも満席になるようだ。

やはり「歌舞伎町」という日本有数の夜の街が近いからか?

それとも単に俺と同じように帰る前に飯にありつこうとした会社員が集まってきたのか?

どっちもありそうな気がする。

空いている席にどうぞといわれたので、入口付近の場所に腰を下ろす。

座るなり、俺はしんぱち食堂の定食マップであるお品書きを開いた。

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定食の種類はかなりの数があり、大まかに魚と肉の定食に分かれている。

米については大盛がプラス50円、半分にしたときは70円安くなる。白飯を減らした際にちゃんと値引きが入る辺り、親切な対応だと感じる。

そしてプラス150円でビールをつけることもできるようだ。まあこれについては俺のような飲めない人間には関係ないが。

さて、どれにするか。

絵面を想像しながら一つ一つの項目を眺めていく。

よくよく見てみると同じ魚でも異なる方法で調理したものもある。

そして店側のおすすめの品にはご丁寧に赤字でコメントまで書かれている。

このコメントがまた何にするか決めあぐねているときには憎たらしく見える。ただでさせどれにするか迷っているのに、このコメントによって更に収拾がつかなくなってしまう。

結局5分くらいメニューを見続けて悩んだ結果、肉料理で一番の人気だという「味噌豚鉄板焼き定食」を選び抜いた。

・2種類の格言が書かれている湯飲み

店員を呼んで定食を注文した後、お冷が出された。

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今時すし屋ですら普通の湯飲みなのに、ここの湯飲みは格言のようなものが書かれている。

「長寿の心得―人生は六十から―」とあるが、どんな内容なのだろうか。

とりあえず回してみることにした。

まず70歳だ。

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「七十才でお迎えが来たときは只今留守だと言へ」

居留守でお迎えって帰るのか? というか応えてる時点で留守じゃないし。

疑問は残るが次へいこう。

80歳。

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「八十才でお迎えの来たときはまだまだ早いと言へ」

確か最近発表された日本の平均寿命って男も80を超えてたよな。まあ、そう考えると、80ならまだ早いとも言えなくもないか。

90歳。

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「九十才でお迎えの来たときはそう急がずともよいと言へ」

ここまで生きてきたことによる余裕が出てくるからそう言えるのだろう。さすがは年長者とすら思う。

そしていよいよ100歳。

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「百才でお迎えの来たときは頃を見てこちらからボツボツ行くと言へ」

……これ遠回しに「俺は人生謳歌するまで死ぬ気はないぞ」って言っているような気がするんだが。

たぶんこれを言っている時点で当分死ぬ気はないな。

総じてみてみると「長寿の秘訣」というより「お迎えの都合なんか知ったこっちゃねえ」ということなのだろうか?

まあそんだけずぶといからこそ長生きもできるのだろうな。うん。

 

ちなみに湯飲みの格言はもう一種類ある。

別の日に手元に来た湯飲みに書かれている内容は「健康十訓」というものだ。

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内容も至極まっとうなことが書かれている。

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肉を少なめにして野菜を多く食べ、塩分や砂糖を控えめにして酢や果物を多くとるべし。

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少ない量をよく噛み、厚着をせずに風呂や日光で体を温め、よく運動せよ。

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くよくよせずに、怒らずに、文句ばっかり言わない。よく眠り、よく笑い、実行に移すべし。

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そして最後に、欲を控えて周囲へ尽くすべし。

「まったくその通りだ」と思っていてもなかなか実践できないことが10個挙げられた。

事実、まず今回の食事はがっつり肉だ。

しかも己の欲に任せて選んだ。

そして肉は味噌味。

いきなり3つ破っている。

だが時にこういった言葉もあるということを、時に思い出すためにも心に留めておこう。

・味噌のうま味が食欲をそそる「味噌豚鉄板焼き定食」

座っている席からは厨房で定食の肉や魚を焼いている様子を伺うことができた。

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よくよく観察すると食材を乗せている網の下には白っぽい塊が赤く光っているのが見えた。

あれは、もしかして炭?

どうやら定食のメイン料理は一品一品炭火で焼いているようだ。さらに見ていると、どうやら網の高さは2段になっているらしい。そうすることで焼く火力を調整できるようにしているのだろう。

思いもしていなかったことがわかり、調理されている料理への期待値がぐんと上がる。

俺が注文したと思われる肉が載った鉄板が網から降ろされて、はさみで切られた後、白飯と味噌汁のお椀を伴って目の前へと運ばれてきた。

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お盆の上には漬物らしきものと大根おろしが盛られた小鉢もある。

中学時代に教科書で見た「主食」、「主菜」、「副菜」、「汁物」の全部が揃っている。

早速味噌豚の味を確かめてみよう。

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食べやすいように切られた一片を口へと入れる。

まず舌に届いたのは味噌の味だ。

甘味の強い風味が口の中へとゆっくりと広がっていく。

噛んでみると肉の厚みに反して柔らかい。そして味噌の味が豚肉にしっかり染み込んでいて、よくマッチしている。

これは確実に食の進む味だ。

時間が遅いからと量を半分にしたのは失敗だったかもしれないと開けた瞬間に確信した。

俺は左手側にあったお椀の蓋を開けて白飯を視界にとらえる。

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現状貴重な米ではあるが、ためらわずに掻き込んでいく。

新たに口に加わった白飯は口の中に残っている味噌を引き寄せて、先客と混ざり合って最高の味を作り出す。

味噌と肉。そこに米。

やはりこの組み合わせは日本ならではの味だ。最高に食が進んでいく。

 

二口目はちょっと冒険をしてみるとするか。

手前にあった大根おろしをちょっと取って肉の上に乗せてから口に入れてみる。

……うーん。

うまいけど、なんか弱い気がするな。

味噌の味がかなりしっかりしているからか、大根おろしの味が完全に負けているな。

ちょっと大根おろしに醤油を混ぜてみるか。

カウンターの上にあった濃い口しょうゆをかけたものを肉の上に乗せて再び口へと運ぶ。

……やはりなんか違う気がするな。

醤油が加わった分、どうまとめたいのかがわからなくなってしまった。

大根おろしは一緒に食べるのではなく、口の中をさっぱりとさせるための品だったか。

肉に関してはやはりそのまま食うのがそのまま食うのが一番うまい食い方かもしれないな。

3切れ目、4切れ目と肉を取り、ご飯を入れていく。

途中舌をリセットしたくなったら大根おろしと漬物、付け合わせのインゲンの出番だ。

一度これらの味覚を感じることで肉のうまみを再認識することができる。その結果、米も進む。

たったこれだけでしっかりとループできるのだから素晴らしい。

だがそれも永遠には続かない。

まず米がなくなった。これであれば普通の量でも問題なかったかもしれないな。

肉と大根おろしが残っている状態になったので先におろしを片付けた。最後に肉の味を残しておきたかったからだ。

そして残った肉を次々と口へ運び、噛みしめた。

最後の一切れを飲み込んだ時、何とも言えぬ幸福感が舌から広がっていく。まさに至福のひと時だ。

しばらくその余韻に浸ったのち、俺は席を立って会計を済ませた。

外に出ると涼しい風が体を撫でる。

季節はもうすぐ秋だ。

確かメニューには「旬の魚定食」というものがあった。

これからの時期の旬の魚といえば秋刀魚だ。

きっとうまい秋刀魚がこれから食えるようになるだろう。

そうだ。次に来るときは秋刀魚の定食を食おう。

食べ終わってすぐに次に来た時に食うニューを決めた俺は目の前にある西武新宿駅から電車で家路へとついていった。

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・あとがき

しんぱち食堂の営業時間は驚きだ。

朝は4時から始まって、夜は翌日の3時まで開いている。

つまり店が閉まっている時間というのは1時間しかない。

むしろ個人的にはその1時間で何をやっているのか、非常に気になるところだ。

 

【今回紹介した品】

味噌豚鉄板焼き定食 780円

米半割 ⁻70円

 

しんぱち食堂新宿店

・住所

東京都新宿区歌舞伎町1-26-3 第五東亜会館 1F

・電話番号

03-6205-5605

・営業時間

4:00~翌3:00(L.O.翌2:55)

(写真と文/鴉山翔一)

 

 

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