「わすれん棒」で焼き鳥を食べながら夏を感じる

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うーむ。弱ったことになってきたぞ……。

新宿のど真ん中で俺は風に舞うビニール袋のようにふらついていた。

前から気になっていた店に行ってみたらまさかの19時までの限定メニューで俺が来た時には終わっていた。

「串ものに食らいつく」モードに切り替わってしまった脳と腹を大人しくさせるべく店を探しているのだが、全く決まらずさっきから駅周辺を彷徨っている。

あったとしても満席だったりする。

思い出横丁で良さそうな店は見つけたが、既に時刻は20時を過ぎているのもあって、その空気は混沌そのものだ。

そこへ下戸が一人で入るという冒険はあまりの危険度ゆえ脳内監査人に「No!」を突き付けられる。

このまま帰るというのも手かもしれないが、それはそれでまた腹の獣が唸りをあげる。

さて、どうしたものか……。

 

待てよ。あの店だったら……。

少し考えた末あることを思い出し、俺は足を進めた。

向かう場所は新宿に観光で訪れた外人がよく写真を撮っている新宿一番街のアーケード。

煌々と光る鳥居のようなそれをくぐって少し行ったところにその店はある。

かつて飲み会の幹事をやらされた時に偶然見つけた店。

「わすれん棒」。

正直まさかここに1人で来る日が訪れるなんて思いもしなかった。

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1.家庭的なお通し

入口の引き戸を開けて店内に入るとやはり結構な数のお客がいる。

新たな訪問者に気付いた店員に1人だと告げると隣が厨房に面したカウンターの席に案内された。

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ガラス越しに串に刺さった鶏肉が何本も焼かれている。

これを見ているだけで、空腹度はどんどんと増していく。さっさと注文してしまおう。

席に着いた俺に店員はおしぼりと今キャンペーンでやっている品のメニュー表を渡してきた。

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ほう、ナスか。

嫌いな食べ物ランキングとかで上位に来ることが多いナスだが、個人的には物心ついた時から大好物だ。

一番好きな食い方は味噌田楽だが、ここではなさそうだ。

だが揚げナスに揚げ出し、グラタンと旨そうなものがいくつもある。

その中で気になったのが1つある。

水晶ナスだ。

どんな感じなのか思い浮かばない。

そういう名前の品種なのか、それとも料理なのか。どっちとも可能性がある。

気になってしょうがないので店員に声をかけて訊いてみた。

いまいち説明を聞いてもピンと来なかったが、どうやら素麺上にしたナスにつゆと大根おろしを乗せた品らしい。

店員も正体をわかりかねる品。これはこれでちょっと気になりはする。

俺は焼き鳥とドリンクがセットになったお疲れ様セットと謎の品「水晶ナス」を注文した。

注文を終えると店員がお通しを出してきた。そうか、ここは居酒屋だからお通しが出るんだ。

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出てきた品は居酒屋にしてはかなり洋風な代物だ。

ニンジンや玉ねぎ、ジャガイモ、肉を煮込んで傍らにはバケットを添えている。

器の中身だけを見ればとても居酒屋にある代物とは思えないが、陶器と組み合わさることでお通し感が出ている。

まず手始めにゴロっとしたジャガイモから食べてみるとしよう。

丸く大きなジャガイモはバケットと同じくらい目立ちたがり屋のようだ。

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噛むとホクホクしていて軟らかい。そして、

これ、カレーだったのか。

食べるまで全然気にしていなかったが、よくよく見ればカレー要素ばっかりではないか。

強いていえば汁気が多いことと白米がないことぐらいしか違わない。

というかこのカレー、母親が忙しい時に作ったカレーにものすごく似てる。

水が多すぎてスープカレーっぽくなるんだよなぁ。

だが、こうして煮物として食べるのであれば全然いける。

うちのも汁物として出してくれんかなぁ。

2.涼しげな水晶ナス

隣の女子会が盛り上がってきたころ、水晶ナスが届いた。

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細く切られたナスに何かの汁をかけ、大根おろしと刻みネギを乗せている。

見た目から涼しそうだ。

試しに一切れよく汁を絡めてから口の中に入れると、さっぱりとした味が広がる。この汁は麺つゆのようだ。大根おろしがあるから辛味が強いかと思ったらそんなことはない。

むしろ麺つゆによって辛味が抑えられるのかもしれない。

大根おろしとは不思議な食材だ。

 

それにしても、水晶要素はいったいどこにあるのだろう。

考えているとふとあるものが目に入った。

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水晶の塊だろうか?

まじまじと見ていると、ある仮説が頭の中によぎった。

もしかして、上に乗せた大根おろしが水晶のように見えるから「水晶ナス」というのだろうか?

だとしたらなかなか洒落た料理だな。

そう思いながら俺は再びカウンターの上に置いてあった水晶の塊を眺めた。

再び見たことであることに気付いた。

これ水晶じゃない。岩塩だ。

一応確認したら、やっぱり岩塩だった。

3.わすれん棒自慢の焼き鳥

女子達の話題が彼氏云々の話題になり始めたころ、待ちに待った焼き鳥が届いた。

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届いたのは砂肝とハツだ。どちらも塩で味付けされているらしい。

まず砂肝から食べてみよう。

赤みのある肉はしっかりとした歯ごたえだ。ただ硬いというわけではなく、うま味もある。

スーパーで売っているのと違って格段にうまい。肉もそうだが、塩が違うのだろうか?

ハツのほうはどうだろう。

試しにかじってみるとピュッと脂が噴き出てくる。そして飛び出てきたうま味たっぷりの液体が舌を包んでいく。

ほう、ハツとはこういう感じの肉なのか。

食べる機会に恵まれなかったのがとても不幸だったと思わせる味だ。

続いて新たな2本が届いた。レバーとセセリだ。

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レバーのほうはタレ、セセリは塩で味付けされている。

まずレバーをいただいてみよう。

このレバー、見た目からしてだいぶ違う。

よく見るのは褐色じみた感じの色をいているが、これはだいぶ赤い。

さて、味はどうだろうか。

若干緊張しながら一口食べてみる。

軽く下で押してみると、柔らかすぎて口の入れたレバーが簡単に溶けた気がした。

何だこれは。これが本当のレバーなのか?

だとしたら俺が食べてきたものはなんだったのだろう。これまでの人生で気付きあげてきたレバーの概念がたった1本で大きく覆されてしまった。

これは残っているセセリにも大きく期待がかかる。

セセリは先ほど食べたハツのような見た目をしている。

味見としてとりあえずひと噛み。

セセリはハツのように脂が飛び出てくることはなかった。

でも噛めばそこから肉汁がジワリと溢れてきて、表面についていた塩と混ざって舌にかかる。

うまい。絶妙なうまさだ。

これはいい1本を引いた。

 

4本すべて食べ終わった頃、店員が新たに一皿持ってきた。つくねだ。

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はて? 俺が注文したお疲れ様セットはドリンクと焼き鳥4本だったはず。もちろん追加で注文などしていない。

訊いてみると、ウーロン茶と焼き鳥4本では1000円に届いていないらしく、これはその埋め合わせということらしい。

なんと! 値段については意識していなかったが、そんなサービスをしてくれるとは!!

店員の気遣いに感謝しつつ、いただくとしよう。

つくねの身はとても柔らかい。そして噛むとその中にコリッとしたものが当たった。

軟骨だ。つくねの中に細かい軟骨が入っている。

それのおかげでふわりとした食感の中にコリコリとしたものを味わえる。

これは面白い。予想外のコリフワな食感、うまかった。

予想外のつくねを食べ終え、俺はカウンターに置かれていたメニュー表へと目をやった。

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見れば他にも様々な焼き鳥がある。

どれもうまそうだ。一通り全部食ってみるというのもいいかもしれない。

だがそれはさすがにもったいない気もするし、財布的にもきつい。

とりあえず、ハツとレバーに関してはしっかりとおかわりを注文しといた。

4.米が欲しくなる自慢のラーメン

ここまではナス料理と焼き鳥を食ってきた。

それもあってか、腹が「炭水化物が恋しい」と訴え始めている。

そろそろシメの逸品へいってもいいかもしれない。

メニューを見て、わすれん棒での腹の旅を終える一品を探し始めた。

穀物系は釜飯と焼きおにぎり、ラーメンの選択肢がある。

釜飯か。さすがに腹的にはちときついものがある。となるとラーメンか。

ラーメンも普通のサイズと小さいサイズの2種類がある。

自ら注文した品を残すというのは店に対して失礼だ。なら確実に食べきれるであろう小にしておこう。

おれは店員に「鶏ガラ醤油ラーメン」を注文した。

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小というだけあってやはり器は小さめだ。

目に映るのはトッピングされたネギのみ。まさしくシメの一品といった感じだ。

スープはかなりあっさりとした鶏スープだ。あっさりしている分鶏のうま味をふんだんに閉じ込めている。

それに合わせてか麺は細麺。よくスープとマッチしている。

麺を底から持ち上げた際にスープの泉からひょっこり顔を出してきたやつがいる。

それに合わせてか麺は細麺。よくスープとマッチしている。

麺を底から持ち上げた際にスープの泉からひょっこり顔を出してきたやつがいる。

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それに合わせてか麺は細麺。よくスープとマッチしている。

麺を底から持ち上げた際にスープの泉からひょっこり顔を出してきたやつがいる。IMG_1800

これは鶏モツか?

弾力があってなかなかうまい。

それにしてもこの味、ものすごい米が欲しくなる。

食べ進めていくうちにどんどん米が欲しくなる。

だが米が釜飯しかない以上仕方ない。食いきれなかったときどうする。米を残すなど日本人としてあるまじき行為だ。

なくてもうまいのだ。米は諦めよう。

 

女子会組が席を立とうとしたタイミングで俺もラーメンを完食した。

お暇するとしよう。

会計を済ませて俺は店を出た。

そしてあることに気付いてしまった。

そうだ。焼きおにぎりあったんだから、それを注文すればよかった。

だが時すでに遅し。

米要素にコゲまである英雄的存在を忘れていたなんて。

自分の愚行にあきれが生じる。

やっぱり俺は忘れん坊のようだ。

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・あとがき

わすれん棒では宴会用のコースも当然ある。

その際に注目したいのは飲み放題の内訳だ。

わすれん棒ではあのエビスビールが飲み放題になっているプレミアムなプランがある。

宴会の際にはちょっとリッチなビールと一緒にわすれん棒自慢の料理を楽しんでみていかがだろうか。

【今回紹介した品】

お通し 370円

お疲れ様セット 1000円

水晶ナス 430円

鶏ガラ醤油ラーメン(小) 450円

 

わすれん棒新宿東口店

・住所

東京都新宿区歌舞伎町1-17-4

・電話番号

03-5285-3800

・営業時間

平日、土曜、祝日前 17:00~7:00(L.O. 6:00)

日曜祝日      17:00~23:00(L.O. 22:00)

(写真と文/鴉山翔一)

 

 

 

 

 

 

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