TOHOシネマズ新宿上映の映画『モアナと伝説の海』の5つの魅力

tohocinemas

物語はモトゥヌイ島には古くからの言い伝えから始まる。

その昔、女神テフィティの「心」には命を創り出す力があり、

海しかなかった世界に、島や動物、植物を誕生させた。

同時にその心はあらゆる悪党の標的となった。

 

ある時、姿を自在に変えられる「神の釣り針」を持つ半神マウイがテフィティの心を盗み出す。

しかし、逃げる途中で、同じく「心」を求める溶岩の悪魔テ・カァの襲撃により、

マウイはテフィティの心を深い海の底へ落としてしまうのだ。

 

テフィティの心がなくなったことで世界は徐々に闇に包まれ始める。

しかし、世界が闇に覆われ尽くす前に、海に選ばれし者が現れ、

珊瑚礁を超えてテフィティのもとへ心を返しに行くだろう。

 

モトゥヌイの村長の娘モアナは、幼い頃にこの話を聞き、

珊瑚礁を超えた外の海に強い関心を抱いていた。

しかし、モアナの父トゥイは「生活に必要なものは全てこの島が与えてくれる」としてこれ禁じ、いずれ村長になる娘には島のことだけを気にかけて欲しいと願うのだ。

 

そんな中、幼いモアナは砂浜で不思議な体験をする。海が彼女と戯れるように動き、そしてモアナは導かれるように緑色の光る石を見つる。

だが、成長するにつれてそのことは夢だったのかもと思い、やがて村長の娘としての責任感と自覚が大きくなる。しかし、珊瑚礁の外への憧れは抑えられずにいるのだ。

 

※ネタバレ注意

 

Moana-2

モアナと伝説の海 MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

■魅力1.ディズニー技術の粋が詰まった「モアナと伝説の海」の美しい映像

タイトルに「伝説の海」とあるが、海はこの映画の中で重要な登場人物のひとりとなっている。

そのため、ディズニーのアニメーターと特殊効果チームは、「海」をいかに人格を持ったキャラクターとして描くかの構想に多くの時間を費やしたという。本物の水のように見えないと、単に水から怪物が飛び出しているように見えかねないからだ。

かくして、チームは水を描くための全く新しいシステム「スプラッシュ」を開発したという。

 

また、「スプラッシュ」に加え、テ・カァの溶岩の動きや砂浜を描くために、「アナと雪の女」で雪を描くために開発された「マッターホルン」というシステムを用いるなど、多くの独自技術を用いたのだそうだ。

ディズニーの近年のヒット作 「ベイマックス」とこういったエフェクトショットを比較すると、「ベイマックス」では全シーンの45%であったものが、「モアナと伝説の海」では80%にも及び、その大半が水の描写に関するものだそうだ。

 

その苦労のおかげか、本作の中では水に関わるシーンはもとより、全編で非常にクオリティーの高い美しい映像が楽しめるぞ。

 

x35111798_88932.jpg.pagespeed.ic.jrK6PTKF7I

モアナと伝説の海 (ディズニーアニメ小説版)

 

■魅力2.実は批判も受けていた?マウイのキャラクター

 

日本人にとって「マウイ」と聞くと、ハワイ諸島の島の名前が思い浮かぶだろう。

このマウイという名、実は神様の名前だそうで、その怪力で島を釣り上げたり太陽を支えたりと、ハワイだけでなくポリネシアの島々にその神話・伝説は伝わっている。

だから、南太平洋の国々ではマウイは英雄として崇められ、そして親しまれている神様だ。

 

監督はこの映画を製作するに当たって、物語のベースとなるポリネシア文化を研究するために、オセアニア南部に2度出向き、広範な調査を行ったそうだ。

ディズニーの作画製作チームとの調査旅行を経たのち、人類学者、研究者、教育者や文化顧問などからなる専門家チーム「Oceanic Story Trust」を立ち上げ、ポリネシア文化への敬意ある表現のために、製作チームと協力し取り組んだのだ。

 

だがそれでも、このディズニー版マウイに対し、マオリの団体から

「太り過ぎ!」(昔のポリネシアンはスリムだったらしい)

「マウイの描写がステレオタイプ過ぎ!」

「文化や信仰、歴史が誤解されかねない!」

などの批判を受けたという。

 

だが、そこは世界のディズニー。当然、しっかりと話し合い、

この問題については和解をしているそうだが、いずれは「モアナと伝説の海」でマオリ族の人達も英雄マウイが世界中に知られることを喜んでくれることだろう。

 

1486588234_1_1_4fdf8329a30554469e2ced71323a1e31

 

■魅力3.個性溢れる登場人物と豪華声優陣

 

この映画に登場する個性豊かな登場人物と、それに負けないくらいの豪華声優の一部を紹介してみよう。字幕・吹き替えともに素晴らしい声をもった南国育ちの声優を多く起用しているぞ。

 

・モアナ・ワイアリキ

この映画の主人公、海に愛される少女がモアナ・ワイアリキ。

村長の娘で、お転婆で気が強く、一度決めたら自分の意思を突き通す性格の持ち主だ。

父親の反対も押し切って島を飛び出し、大航海に行くことで壮大な物語がスタートする。

そんなヒロインを演じるのは、ハワイ出身のアウリイ・クラヴァーリョだ。

若干16歳の無名な声優だが、1,000人以上が参加したオーディションを見事合格し、大役に抜擢されたのだ。劇中では美しい歌声も披露しているぞ。

 

対する日本語版は沖縄出身の歌手、屋比久知奈が大役に選ばれた。

屋比久知奈はビクターミュージックアーツに所蔵する歌手で、東宝主催の第1回ミュージカルのど自慢大会で優勝したことがある抜群の歌唱力の持ち主だ。

沖縄県出身で、作品が海をテーマにした物語だけにイメージともぴったり。さらに、英語も得意なため今後の活躍が期待されている。

 

・半神マウイ

島の人々に神として崇められている半神マウイ。タトゥーだらけのごつい大男だが、ひょうきんでお茶目な性格の持ち主だ。魔法の釣り針で様々な動物に自身の姿を変えることができる。モアナと旅を共にする重要なパートナーだ。

 

そんな半神マウイを演じるのはプロレスラーのザ・ロックとして知られるドウェイン・ジョンソン。本作では自己紹介を兼ねた挿入歌を歌い、その歌声を披露している。

 

その日本語版は、歌舞伎俳優の尾上松也が担当。二代目尾上松也として子供のときから歌舞伎の舞台に上がってきた正真正銘のサラブレットで、歌舞伎だけでなくミュージカルやテレビドラマ、映画にも多数出演している。ただし、アニメの吹き替えはこれが初挑戦。

 

・モトゥヌイの村長トゥイ・ワイリキ

モアナの厳格な父親トゥイ。島の平和を乱すことを極力嫌がり、そのためにモアナに海に出ることを禁じる閉鎖的な一面を持つ村長だ。

トゥイがモアナに海に出るのを禁じているのは、かつて自身も珊瑚礁の外へと向かい、親友を亡くした過去があるのがその理由だった。娘を思うあまり、つい束縛してしまう。

 

そんなトゥイを演じるのは、ニュージーランド出身の俳優テムエラ・モリソン。有名映画に出演し続けているベテラン俳優で、「ワンス・ウォリアーズ」や「スター・ウォーズ・エピソード2」、「スター・ウォーズ・エピソード3」にも登場している。

 

日本語版は舞台俳優として活躍している安崎求が出演している。

 

・タラおばあちゃん

モアナのよき相談相手で仲良しな祖母。モアナに的確な助言を与える役割で、海辺で歌を歌ったり、踊ったりするのが大好きな前向きで明るいキャラクターである。

 

トゥイを演じるのはマオイ族の血筋を引くニュージーランド人女優レイチェル・ハウス。世界的には無名なものの、地元ではテレビ、舞台、映画で活躍している知る人ぞ知る存在。

 

日本語版には女優の夏木マリが抜擢されている。夏木マリといえばドラマや映画に長年出演して続けているベテラン女優。実は声優としても「千と千尋の神隠し」、「アタゴオルは猫の森」などに出演しているが、ディズニー映画は今回初出演だ。

 

・光り物が大好きなカニのモンスター タマトア

体長10メートルをゆうに超える巨大なカニのキャラクター。光物が大好きで背中に光輝く宝物を背負っている。

その巨大な体と好戦的な態度とは裏腹に歌とユーモアが好きな、ひょうきんなキャラクターだ。

 

タマトアを演じるのは、ニュージーランド出身のコメディアン、ジェマイン・クレメント。代表作は、「メン・イン・ブラック3」や「フライト・オブ・ザ・コンコルズ」。

 

日本語版はROLLY(ローリー寺西)が好演。元すかんちのボーカル兼ギターだ。ソロになってからは音楽活動やプロデュースを行うほか、ユニークなキャラクターを活かし、タレントや役者としても活動している。

 

hqdefault

モアナと伝説の海 (ディズニーアニメ小説版)

 

■魅力4.アカデミー賞授賞式のパフォーマンスでも話題の「How Far I’ll Go

 

テーマソング“How Far I’ll Go”はアカデミー賞の歌曲賞にノミネートされていた。惜しくも受賞はのがしたが、授賞式でのパフォーマンスが大きな話題となった。

 

授賞式では、作詞・作曲をリン=マニュエル・ミランダが得意のラップでこの曲が歌われるシーンを紹介し、その後に英語版のモアナので出演したアウリイ・クラヴァーリョがノミネート曲の“How Far I’ll Go”を熱唱したのだが、その途中、バックダンサーが持っていた旗がアウリイの頭を直撃というハプニングに。だがしかし、まったく動じることなく歌いきるというたくましいさだったそうだ。

 

“How Far I’ll Go” のような曲をミュージカルの世界では“I Want”ソングというそうで、物語の早い段階で主人公が自分の望みを歌う曲なのだとか。この“I Want”ソングがあることで、観客は物語の方向を理解することができ、主人公を応援しようという気持ちになるのだそうだ。

 

過去のディズニー映画の主人公たちは、その多くが自分の置かれた状況に対して何らかの「不満」や「不快感」を持っているものが殆どだが、モアナはそれらと違って自分の居場所が嫌いじゃない、だがどうしても何かに惹かれてしまう…。

「海に選ばれた16才の少女」というキャッチコピーからもうかがえるように、彼女の“I Want”は彼女の本能であり宿命からくるものだということを示唆しているのだ。

実際にこの映画を見るときはこの曲の歌詞にも注目してみるといいだろう。

 

723341

 

■魅力5.ヒロインのモアナはジブリの影響受け誕生!?

 

ハリウッドで行われたワールド・プレミアの際にインタビューで、

実は日本のジブリ作品から影響を受けたとジョン・マスカー監督が明かしている。

「モアナは心の声に従い強い信念を持つ新ヒロインなんだ。実は宮崎駿作品に登場するヒロインたちの影響を多く受けているんだよ」と語る。

 

ジブリ作品のヒロインと言えば、弱さも持ちつつ強い信念を持っているという共通点がある。

「モアナは日本の女性たちにとってまさに理想の女性。周りの声に惑わされず、自分の心の声に従うという強さは、世界中の女性の心に響くはず」とジョン監督はモアナに込めた思いを明かしたそうだ。

 

スポンサード リンク



 

■最後に

 

従来のディズニー映画というと「プリンセスとプリンスの恋」というのが定石だが、今回は違っている。

モアナというヒロインと半神マウイは最悪の出会い方をするが、やがて信頼を深めて…やがて恋に発展か!?と思わせるのだが、マウイとモアナの間にロマンスはしのび寄らないのだ。

 

そして歴代のディズニー・プリンセスと違ってモアナは非常にたくましいヒロインなのだ。

海に選ばれ、島を救うため冒険に乗り出す勇敢な彼女には、アクション・ヒーロー的なかっこよさがある。だからと言って男っぽいわけでもなく、ちゃんと女性らしいかわいさがある。その上で迷いや弱さを見せるから身近に感じて感情移入しやすくなるのだろう。ディズニー映画の中では新しいタイプのヒロインといえる。

 

プリンセスものに付きものだった甘い部分は排除するなど、新しさを適度に盛り込みながらも、ディズニーらしい演出や、南国の海と光を描く映像の美しさは実に素晴らしく、子どもからお年寄りまで楽しめる映画に仕上がっている。

 

よく見ると、あのキャラクターが!と隠れキャラがあちこちに登場していて、ディズニー好きならずとも何度も見て探したくなるような遊び心も詰め込まれているぞ。

ぜひ劇場で確かめてみて欲しい。

 

(文・千乃谷)

SNSでもご購読できます。

スポンサードリンク

コメントを残す

*